セミナーレポート

先進モビリティにおけるバス・トラックの自動運転技術開発について先進モビリティ(株) 代表取締役 青木 啓二

本記事は、国際画像機器展2017にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

自動運転バス実用化に向けた取り組み

 自動車メーカーが2020年までに自動運転で目指しているのは,レベル2です。しかし,そこでは人による外界環境認識が必要で,無人化にはレベル3が必要になります。そのためには3つの技術が求められます。1つは,高度な測位技術です。センチオーダーで自分が今地球上のどこにいるかがわからなくてはいけません。2つ目は,人間と同等の認識率をもった障害物認識です。3つ目は,高精度な地図の利用です。この3つを組み合わせることが必要になっています。
 位置の測位には,3つの技術が研究されています。1つは,GPSによる位置測定。2つ目は,ランドマーカーによる位置測定。3つ目は,ポイントクラウド(点群)による位置測定です。多くの自動車メーカーではポイントクラウドを研究しています。障害物認識に関して,高精度な3DLiDERライダーと,ディープラーニングが期待されています。
 自動運転バス実用化に向けて,先進モビリティではいくつかの実証実験を行っています。2017年12月から始まったのが,沖縄宜野湾市のイオンモール沖縄ライカムから宜野湾マリーナまで,沖縄の南北をつなぐ幹線58号線を通る片道10 km,往復20 kmのルートでの実証実験です。障害物を除き,GPSによって人間が一度もハンドルを触ることなく自動運転を実現しています。沖縄には路側駐車帯がありますが,それらに止まっている車を認識して制御することも可能にしています。認識の基本はディープラーニングです。
 また,先進モビリティでは,道路局で行っている道の駅での奥永源寺自動運転バス実証実験にも参加しました。この地域ではGPSが届かない場所がかなりあるため,GPSが届かない区間では磁気マーカーを道路に埋設してハンドルの制御を行いました。一部区間においては道路を閉鎖し,運転席にドライバーを置かず,無人運転を実施しました。
 現在,トラックやバスはドライバーの高齢化や人手不足が深刻な問題になっており,その解決が喫緊の社会的課題になっています。中山間地域や長期距離のトラック輸送については,輸送業界からも無人運転への強いニーズがあり,先進モビリティとしても一刻も早く実用化を進めていければと考えています。

先進モビリティ(株) 代表取締役 青木 啓二

1971年トヨタ自動車入社。同社研究部にて米国運輸省の「I-15 自動運転PJ」用の自動運転車の開発を担当後,同社IT・ITS企画部にて「愛・地球博」用自動運転バス「トヨタIMTS」の開発を担当。2008年,日本自動車研究所に出向すると伴に,NEDO「エネルギー ITS推進事業」の自動運転・隊列走行技術の開発を担当。2014年,先進モビリティ㈱代表取締役に就任。

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