セミナーレポート

映像解析技術を活用した安全・生産性を向上するフィジカルセキュリティー・IoTソリューション(株)日立製作所 村上 智一

本記事は、国際画像機器展2016にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

課題解決ソリューション技術と今後の技術展望

 監視カメラの技術はセキュリティー分野だけでなく,工場や流通現場などでも高いニーズがあります。例えば,生産現場では従業員の手順や品質の確認。流通現場ではお客さまの動線解析や行動把握。保守の現場では,保守の効率のために映像解析技術を使った支援を行っています。具体的には,生産現場向けには,パートナー会社様のご協力のもと,製造現場における作業員の逸脱動作やライン設備の動作不具合などの予兆を検出し,品質改善や生産性向上を支援する画像解析システムを開発しました。システムでは標準動作モデルを作成し,実際の作業員の関節位置情報に基づいたデータと標準動作モデルを統計的に比較することにより,逸脱動作を判定します。
 流通向けでは,施設内の“見える化”ソリューションとして,店舗の出入口で人数・属性を把握し,人流解析の技術を使って動線解析を行い,相関関係を総合的に分析し,KPI化。集客率の向上やレイアウトの改善などにつなげていきます。また,保守の現場では,2D-ARを用いた点検支援システムや遠隔作業支援,ヘルメット型UIを使ったAR作業支援システムなどを開発しています。AR技術を使うことで,海外拠点などノウハウが伝えづらい現場でも直感的な動作の支援が可能になります。
 こうした課題解決ソリューションに関しては,データ取得技術を提供しながら現場で使っていただき,データ収集,分析,KPIの提示など,パートナー会社と協創し,課題解決を行っていきます。
 今後の技術展望としては,ディープラーニングの実用化が進んできています。人物や車両の検知,物体認識,動作識別に関してもCNN(Convolutional Neural Network)などの活用により認識精度が向上してきています。現在,国際的なコンベンションにより,技術の進展が加速しています。我々も映像検索の国際競争型ワークショップTRECVIDに参加し,最新の機械学習の技術を取り入れ,性能向上を目指しています。また,監視カメラの応用という観点では,人を見つけてその属性を同時に判別し,リアルタイムで分析していく技術の開発を進めています。今後は,これらの技術をいかに実用化していくかが課題だと考えています。

(株)日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ 村上 智一

(株)日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ メディア研究部 所属。現在,画像認識・処理技術の研究開発に従事。
博士(情報理工学)。電子情報通信学会,映像情報メディア学会,日本バーチャルリアリティ学会 会員。

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