セミナーレポート

製造やサービスで期待される新しいロボットに必要なビジョンセンサ産業技術総合研究所 中坊 嘉宏

本記事は、国際画像機器展2015にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

「インダスストリー4.0」第4次産業革命が進む世界

 次に,アプリケーションの話をします。経済産業省は「ロボット介護機器開発・導入促進事業」として,介護現場等のニーズを踏まえ,厚生労働省と連携して「ロボット技術の介護利用における重点分野」を特定し,その分野のロボット介護機器を開発する企業等に対し補助を行うとともに,介護現場への導入に必要な基準作成等の環境整備を行っています。我々産総研などの研究機関が評価を担当しています。具体的な事例としては,見守り支援機器ではシルエット見守りセンサーがあります。ベッドで人が起き上がってくるところをシルエット画像で確認します。また,浴室での転倒検知を行う浴室用守りセンサー。さらに,介護施設の要介護者を見守る管理システムまでを含めてサービスとして提供しているものもあります。移動支援機器としては,立ち座りから歩行による移動といった一連の活動をシームレスにアシストするロボットアシストウォーカーといったものがあります。これは,GPSと3Gの通信機能がついていて見守りや緊急通報ができるようになっています。  世界的には,「インダスストリー4.0」といわれるドイツ発の第4次産業革命が注目されています。蒸気機関,電気,電子制御に加え,ネットワークが次の産業革命をもたらしているのです。すべての情報がつながり,共有される世界。ドイツでは最初からあらゆるレイヤーで規格化を盛り込んでいます。それを「RAMI4.0」と呼び国際規格化も進んでいます。それらは,製造と設計のデジタル化,物理的な世界とバーチャルな世界が常にツインで同期される「デジタルツイン」と呼ばれる壮大な構想につながっています。  一方,日本は製造とITがかい離しているのが現状です。製品の計画から設計,試作,製造,販売,保守,アプリケーションまで,プロダクツライフサイクル全般に渡っていかに電子化し,一気通貫で活用していけるかが重要になっています。そこではイノベーションのジレンマとして,いかに安く安全なものを大量につくるかということも鍵になります。

産業技術総合研究所 中坊 嘉宏

2000年 東京大学工学系研究科 石川正俊研究室 博士課程修了。2002年 理化学研究所 バイオミメティックコントロール研究センター研究員。2005年 産業技術総合研究所 知能システム研究部門 安全知能研究グループ。2008年 同ディペンダブルシステム研究グループに組織変更。2013年 同グループ長。2015年 同ロボットイノベーション研究センター ディペンダブルシステム研究チームに組織変更。

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