セミナーレポート

中国AI最新事情と画像センシング技術の自動運転への応用センスタイムジャパン CEO 勞 世竑

本記事は、画像センシング展2019にて開催された招待講演を記事化したものになります。

自動運転を支えるAIプラットフォーム

 自動運転を支えるAIプラットフォームとして,センスタイムには4つの重要な能力があります。
 1つ目は,良いアルゴリズムを作る力です。世界トップレベルのAI,ディープラーニングの研究者が多く,様々な課題を解決する豊富な経験をもっています。
 2つ目は,データです。ディープラーニングでは,データをいかに効率よく大量に集めるか,そのデータに対していかにラベル付けを行い,適切に管理し,評価データベースを作るかが非常に重要になります。それらのノウハウがあり,かつ大量のデータ入力を行う上で,ローコストの労働力を1000人単位でもつのも中国の強みです。
 3つ目は,コンピューターのプラットフォームです。ディープラーニングではGPUマシンがどれくらいあるかで学習の効率が変わります。センスタイムは1万5000以上のGPU,7か所のGPU計算センターを有しています。また,高度な並列処理マシンをコントロールするためのソフトウェアのプラットフォームも自社で開発しており,お客様のニーズに応じてネットワークの負荷や画像のメモリ量を調整しながら学習させることができます。
 4つ目は,ディープラーニングで学習された巨大なネットワークをいかにローコストのハードウェアで高速に実行できるようにしていくかという技術に長けています。
 センスタイムでは,AIプラットフォームとして,2000GPUのノードの同時アクセス処理を可能とするハードウェア,1200層以上のディープラーニングと並列処理を可能とする独自開発環境,各ハードウェアへの最適化パイプラインなどを用意しています。
 AIは,日本の産業の発展に貢献をすることができます。産業界はもっと資金を日本の大学に出して日本の研究者を支えてほしいと思います。そして,もっとベンチャーに投資してください。ベンチャー精神はサクセスモデルケースが大事で,そのためにもサクセスストーリーをたくさん作ってほしいと思います。

センスタイムジャパン CEO 勞 世竑

1984年 中国浙江大学卒業 京都大学留学後,1992年オムロン株式会社入社 顔認識技術の開発研究に従事。2016年SenseTime Groupの日本法人であるセンスタイムジャパンを設立。ディープラーニングを活用したコンピュータビジョンの技術を提供する最先端企業として,顔検出・認識,車・歩行者検出技術開発,ホンダと自動運転の実現を目指した共同研究を行っている。SenseTime Group副総裁,知能運転事業統括。センスタイムジャパンCEO。

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