セミナーレポート

省演算・省電力AI:SOINNの活用事例SOINN(株) 代表取締役CEO 長谷川 修

本記事は、画像センシング展2019にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

広がるSOINNの適用分野

 ロボットの事例もあります。距離画像や可視光画像をとらえるカメラのほか,タッチセンサー,重量センサーなどをつけたロボットを使用して,身の回りにあるものを見たり,聞いたり,触らせたりして,小さい子が言葉を覚えていくように学習させていきます。例えば,スポンジなら,「黄色」「軽い」「軟らかい」という言葉を与えます。「黄色」は色のこと,「軽い」は重さの感覚であると教えなくても,子どもが言葉を覚えていくように学習します。その結果として面白かったのは,「木製かどうかを把握するには,叩いて音を聞けばよい」と学習した,ということでした。私たちも日頃,経験的に同じようなことをしているのだと思います。学習したAIは他のロボットに移転することができるので,ベテランの技術の伝承などに応用できます。
 また,熊谷組では,複数重機の自動運転に使っています。現場監督1人が見ていれば,問題が起こったときには重機が自ら止まってオペレーターに情報を送ります。
 日本電技では,インテリジェントBEMS(ビル・エネルギー管理システム)として,気象データと日々のビルの消費エネルギーデータを学習させ,エネルギー需要予測を行うシステムをクラウドで運用しています。八千代エンジニヤリングでは,気象情報と水位計値から自動学習するダムの流入水量予測に使われています。そのほか,ルネサスエレクトロニクスとは,チップ上で学習するオンチップAIを共同開発しています。
 さらに,個人向けに,蓄積される自分のデータ,プライバシーを守りつつ,スマートフォンで育て助けてくれる自分専用の「AIパーソナルコンシェルジュ」の開発を進めています。将来的には,企業や個人がAIをトレーニングして販売可能になるネット上の「AIマーケット」が構築されるようになると考えています。SOINNは,AIを生活の隅々に浸透させ,プライバシーを守りつつ,誰もがAIの恩恵を受けられる社会を目指していきます。

SOINN(株) 代表取締役CEO 長谷川 修

1993年 東京大学大学院電子工学専攻博士課程修了,博士(工学) 通産省工業技術院電子技術総合研究所研究員 1999年 カーネギーメロン大学客員研究員 2000年 経済産業省産業技術総合研究所主任研究員 2002~2018年 東京工業大学准教授 2014年~ SOINN株式会社 代表取締役CEO

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