セミナーレポート

画像認識と周辺要素をバランスさせて実現するセキュリティ~分野を跨いでバランスについて考える~セコム(株) IS研究所副所長 黒川 高晴

本記事は、画像センシング展2018にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

企業研究におけるバランス

 技術に関する問題として,「コア技術」と「技術トレンド」のバランス取りを挙げることができます。技術トレンドは「長年に渡って蓄積してきたコア技術」とは無関係にやってきます。また,トレンドの中には,無視できないレベルでコアに影響する技術が存在します。例えば,昨今のトレンドである深層学習が画像認識に及ぼした影響は無視できません。目的に照らし,トレンドから取り入れるべき部分とその組み込み方を明確にすることが必要です。セキュリティ技術の目指すところは,「取りこぼしゼロ」が基本で,できるだけ誤検知を減らすことにあります。また,結果に対する理由付けと,それへの明確な対策が可能なこと,悪意ある対象に対しても,正しい結果を出力することが求められます。これらの要件から,トレンドの機械学習に任せる部分を明確にし,セキュリティ技術としてのバランスを探るのが重要です。
 また,企業では「ビジネス」と「技術研究」のバランスをどう取るかも考えていく必要があります。ビジネスは,新しい価値・サービスを最速で提供することを目指します。一方,技術研究は,必ずしも企業・ビジネスに必須の存在ではありません。技術研究をどう扱うかは,その企業が目指している姿から決まります。いま現在の社会にサービスを提供する「ビジネス」と,現在から離れて未来を創造する「技術研究」のバランスを,在りようから探ることが重要なのです。
 バランスとは,複数のものの間でどこに留まるかということです。バランスはものによってかなり違うように感じますが,進化するためには統一的に捉えようとする努力が必要です。一般的には,広く浅く見てバランスを取ると言われますが,バランス取りを各論としないためには,よりメタな視点を通して見えてくるものを活かす必要があります。機械学習では過学習は回避すべきと述べましたが,人間が過学習する,すなわち1つのことをやり抜くと,機械とは逆に汎化が起きるように感じます。考え抜いたあげくの問題はシンプルなことが多く,分野が違っても同じ構造の問題が出現する可能性はかなり高いのです。あることをやり抜いて得た知見は,他分野にも応用できます。そこでは,知見を異なる分野へ投影する汎化力が大切になってくると考えています。

セコム(株) IS研究所副所長 黒川 高晴

1997年,東京大学計数工学科修士課程修了。同年,セコムに入社。以降,画像圧縮,屋外監視,人物検知・追跡などコンピュータビジョンの研究開発に従事。2016年,セコムIS研究所 副所長。主な興味は,深層学習が浸透した現在もビジョンの中間表現。

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