セミナーレポート

商用化が目前に迫る完全自動運転における画像センシング技術の重要性インテル(株) 事業開発・政策推進ダイレクタ 兼 名古屋大学客員准教授 野辺 継男

本記事は、画像センシング展2018にて開催された招待講演を記事化したものになります。

全自動運転の実現時期

 自動運転の実現時期は「高速道路」「一般道路」「生活道路」などの道路タイプに分けて考えます。高速道路では,白線を認識して車間距離を維持し,合流と追い越しができればおおむね走り続けることが可能になります。一般道路では,速度は低くなりますが,信号で停止することや対向車の位置や速度を把握し赤信号になる前に右折すること,歩行者が道路を渡る可能性など,いろいろな状況分析や判断が必要になります。さらに低速ながら家の前まで来るような生活道路では,白線がないなど,自動運転はさらに難しくなります。実は2014年以前はこれが自動運転実現時期に対する認識でした。
 しかし,2014年頃からディープラーニングによる画像認識やアルファGOのような機械強化学習が急激に発展し,欧米の自動車会社を中心に認識が激変しました。最寄りの駅から家までなど,生活道路を含むいわゆる“ラストワンマイル”の狭領域を完全に3次元地図化し,そのすべての道路で走り方を学びつくせばその範囲内でレベル4のロボットタクシーができます。米国では都市ごとに自動運転を実現し,徐々に走れる領域を拡大する方向で開発や事業化が進められています。
 自動運転が実現すると,運転の負荷が下がり人手不足が解消し,荷物も同時に運ぶサービスと組み合わせる等により人の移動コストを大幅に低価格化することも考え られます。そうしたビジネスモデルは概ねデータセンター上のソフトウェア開発で実現されるもので,クルマのライフサイクルがスマホと同様に短くなることで,Webサービスの様に機能や利便性を継続的に向上する能力が競争力の源泉になります。

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インテル(株) 事業開発・政策推進ダイレクタ 兼 名古屋大学客員准教授 野辺 継男

早稲田大学理工学部応用物理学科卒。ハーバード大学PIRPフェロー。NECでPC事業,ソフトバンクでインターネット事業の立ち上げ,日産自動車でクルマのIoT化を行い,2012年,インテル入社。クルマのICT化から自動運転全般のアーキテクチャー構築に従事。2014年,名古屋大学客員准教授兼務。専門分野はICT全般の先端技術および事業開発など。

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