セミナーレポート

産業ロボットの知能化と知能ロボット(株)三次元メディア/立命館大学 徐 剛

本記事は、画像センシング展2017にて開催された招待講演を記事化したものになります。

成長しなければベンチャーとは言えない

 三次元メディアは,水平分業のビジョンメーカーに加え,垂直統合の知能ロボットメーカーに再度方向転換するということになりました。そして,知能ピッキングロボットで物流分野に参入することにしたのです。FA向けに開発してきた世界最高水準の目と脳の技術をベースにトータルソリューションとして知能ピッキングロボットを提供していきます。
 当社では,今まで100人/年,約10億円の開発費をかけてきました。国からの補助金をはじめ,いろいろな企業から出資もいただいてきました。ベンチャーは実験です。私たちは何かアイデアがあると,つくって市場に投入してみて,お客さまの反応を見て,そこから次のアイデアを考えます。そして,またそれを製品に反映して売っていくということを繰り返しています。大企業は緻密に企画を立て,製品をリリースします。しかし,それでは遅いのです。ベンチャーは速く製品をリリースします。そこで速くフィードバックをもらい,次の製品をつくります。このループをどれだけ高速に回せるかが重要になります。そこが,成功するベンチャーとそうでないベンチャーの違いです。
 成長しなければベンチャーとは言えません。将来の大きな成長を目指しているならば,ベンチャー投資も集まります。三次元メディアでは,そのようなベンチャーにふさわしい企業文化を模索しています。大学の先生は経営ができるのか,理論的研究は実用的ではないのではないかと思っている方もいます。研究成果の社会実装は複雑なプロセスです。技術だけではありません。ただし,新しい技術をベースに何かの事業を興そうと思えば,技術者の参加が不可欠で,CTO,CEOという形で経営に参画する必要があります。日本の大学にはたくさんの優れた技術がありますが,多くの研究成果は埋もれてしまっています。実用化を進める中で,さらにたくさんの新しい研究テーマが生まれてきます。工学の研究は,社会に価値を提供し,生活を豊かにすることが本来の目的です。私は研究者や技術者は経営に向いており,志さえあれば文系よりも成功率は高いと考えています。大学の教育に,アントレプレナーシップや,MOT(技術経営),MBA(経営学修士)の科目をもっと入れていくべきではないかと思います。

(株)三次元メディア 取締役代表執行役社長/立命館大学 情報理工学部 教授 徐 剛

1983年 中国から大阪大学に留学。1989年 博士後期課程を修了,工学博士。1989年~1990年 ATRにて奨励研究員。1990年~1996年 大阪大学基礎工学部助手・講師。1996年 立命館大学理工学部助教授。2001年 同教授。2004年 同情報理工学部教授。2000年12月 株式会社三次元メディアを設立・社長就任。その間,米国ハーバード大学ロボット研究所,マイクロソフト中国研究所,モトローラ豪州研究所,東京大学にて客員研究員。2012年 第5回ロボット大賞・中小企業庁長官賞を受賞。2015年 第13回産学官連携功労者表彰・経済産業大臣賞を受賞。2017年 Japan Venture Awards・中小機構理事長賞を受賞。

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