セミナーレポート

QoL向上のための画像センシング技術慶應義塾大学 青木 義満

本記事は、画像センシング展2017にて開催された誰にでもかる特別講演を記事化したものになります。

ディープラーニングによる姿勢推定と行動認識

 CNNは,序盤から中盤の層で,最終の識別に有効そうな畳み込みのフィルターを抽出し,プーリング層でフィルターの畳み込む解像度を変えながら更新を繰り返していくというところがポイントになります。終盤の層では,特徴マップを使い,最終的な分類を得るための全結合層によるクラス分類が行われます。
 ディープラーニングの物体検出では,「SSD(Single Shot MultiBox Detector)」というものがあります。80種類の物体を平均フレームレート23fpsで検出できるということで話題になりました。最新の物体検出の手法としては,リアルタイムの物体検出が可能な「YOLO v2」なども出ています。
 また,人の行動を把握するために必要な技術として,姿勢推定があります。有名なAlexNetを使った「DeepPose」を使えば,姿勢推定に必要な特徴を学習データから自動的に獲得することができます。上から部屋全体を見渡せるような方位カメラ映像の場合,場所によって歪みにより様々な見えの変動が問題になりますが,それでも姿勢推定が可能です。我々の研究室では,わかりやすい事例から学習をはじめ,複雑な事例までを順番に学習させていくカリキュラム学習という方法により,精度を上げることができました。最新の姿勢推定技術は,実時間,複数人,様々な姿勢のバリエーションに対応可能なフェーズになっています。
 人物姿勢推定の次の段階としては,検出した人物が何をしているのかを理解するという行動認識の技術が重要になってきます。CNNで抽出した姿勢特徴量を用いて時系列の行動認識がされるようになっていますが,ビデオ映像に対する時系列の認識課題に対してはまだ発展途上です。
 運転支援の分野では,車室内の運転手や乗員の状態を認識したいというニーズが高まっています。自動運転に向けても,車室内の人を見守る技術の需要は拡大しています。我々の事例では,ディープラーニングとHand Craft特徴を使い,関節位置情報を手掛かりにし,14種類の車室内で取りうる行動のラベルを推定するということを実現しています。

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慶應義塾大学 理工学部電子工学科教授 青木 義満

2001年 早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了,博士(工学)。2002年 芝浦工業大学工学部情報工学科専任講師。2005年 同助教授。2008年 慶應義塾大学理工学部電子工学科准教授。2017年 同教授。主な研究分野は,画像認識,人工知能,パターン認識。
[主な学協会活動歴]
電気学会知覚融合センシング技術の実利用化協同研究委員会委員長,計測自動制御学会パターン計測部会主査,日本顔学会理事,画像センシングシンポジウム(SSII2015-2016)実行委員長,画像センシング技術研究会組織委員,ステアリングコミッティ委員長,NEDO技術評価委員等。

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