セミナーレポート

医用画像処理を始める前に知っておきたいこと ~画像化の原理から実際の検査方法まで~広島大学 檜垣 徹

本記事は、画像センシング展2014にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

MRIのスキャンシーケンスと様々なパラメータ

 次に,MRIの各種スキャンシーケンスと様々なパラメータを紹介します。MRIは,強力な静磁場と電波を利用して対象の断面画像を得るものです。静磁場環境下に患者さんを置くことでプロトンのスピンが静磁場方向に整列します。次にRFを照射することでプロトンのスピンが倒れます。この現象を核磁気共鳴と呼びます。プロトンの状態は電波的に観測が可能です。倒れたスピンが再び整列(緩和)する速度をコントラストとして画像化します。RFと傾斜磁場を利用してプロトンを様々に励起させ組織に応じたエコー信号を取り出す一連の処理をスキャンシーケンスと言います。工夫次第でいろいろなシーケンスを作ることができます。エコー信号を読み取るタイミングなどで異なるコントラストの画像が得られます。
 スキャンシーケンスで代表的なものはSpin Echo(SE)です。基本的な撮影方法で画質が良いのですが,時間がかかるという問題点があります。Inversion Recovery(IR)は,コントラストに一味つけられる撮影方法です。特定の組織の信号を制御することができます。Gradient Echo(GRE)は,高速な撮影が可能ですが,画像が歪むというトレードオフを持っています。Echo Planar Imaging(EPI)は,機能画像などの特殊な撮影が可能になります。
 収集した後の画像のコントラストの付け方では,T1強調画像(T1WI),T2強調画像(T2WI),拡散強調像(DWI)などがあります。MRIのパラメータはたくさんあり,それぞれ画質に影響を与えます。例えば,静磁場が画像に与える影響では,磁場が強いほどS/Nが良くなります。しかし,磁場が強いほど画像が歪みやすくなります。
 MRIでもCTと同様に造影検査が行われます。MRIではガドリニウム造影剤を使用し,T1WIで撮影します。肝特異性造影剤(EOB造影剤)は,正常な肝細胞に特異的に取り込まれる性質を持ちます。私たちは放射線治療による肝障害を,EOB造影剤を用いて評価する研究を行っています。
 一言でCT,MR画像と言ってもその撮影パラメータや検査目的は多種多様です。ささいなパラメータの違いであっても画像処理には大きな影響を与えることもあります。目的に適したパラメータで撮影された画像を利用することが重要です。いろいろなパラメータについて広く浅く解説しましたが,実際に医用画像処理を行う際には関連するパラメータについてもっと深く理解されることをお勧めします。

広島大学 檜垣 徹

2011年広島大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学) 2008年より1年間,Harvard Medical School/Brigham and Women’s Hospitalにて研究員。2009年より日本学術振興会特別研究員(DC2)。 2011年より広島大学大学院医歯薬保健学研究院特任助教,現在に至る。 放射線診断学研究室にて,医工連携の推進,臨床に即した医用画像処理の研究に従事。

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