セミナーレポート

ロボットに使える最新画像処理技術 ~物体認識のための画像局所特微量~中部大学 藤吉 弘亘

本記事は、画像センシング展2010にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

物体検出では局所特徴量と学習が要

 次に,もう1つのトピックである(2) 物体検出と画像局所特徴量について紹介します。
 物体検出は,デジタルカメラに搭載されている「顔検出」がその典型例になります。顔というものは人によって異なります。皆さんは簡単に「顔」と認識できるのですが,SIFTではうまくマッチングできません。同じ顔でも局所的に見るとパターンは異なるため,認識できないのです。
 そこで物体検出では,Viola and Jones が提案した「Haar-like 特徴」という画像局所特徴量と,統計的学習手法である「アダブースト」を組み合わせて使います。すなわち,特定物体認識ではマッチングするだけだったのに対して,物体検出ではアダブーストという統計的学習手法を用いて,物体検出を実現しているのです。
 こうした物体検出を実現する時に特徴量にとって重要なポイントは,例えば顔検出において,口を開けていたり,目を閉じていたりという多様な変化が生じても,できるだけ共通な情報に変換することです。このような特徴量には,エッジやカラー,Haar-like,HOG(Histograms of Oriented Gradients)といったものがあります。
 一方,学習においては多様な変化を生じても,できるだけ共通な情報を選択できるようにします。特徴量だけがよければ物体検出がうまくいくわけではなく,特徴量と学習手法が手を組むことによって,高精度な物体検出を実現できるということです。

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中部大学 藤吉 弘亘

1997年,中部大学 大学院博士後期課程修了。
1997年~2000年,米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所Postdoctoral Fellow。
2000年より中部大学講師。
2004年,同大准教授。2006年,米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所客員研究員。

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