セミナーレポート
誰にでもわかる「画像超解像」東京工業大学 奥富 正敏
本記事は、画像センシング展2010にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
まとめ
今回,超解像処理のアプローチということで,大きく分けて「複数フレーム超解像」と「フレーム内超解像」の2つを紹介させていただきました。「複数フレーム超解像」は,複数の画像を利用して標本点を増やす方法ですが,この効果はいつでも出るわけではなく,処理対象画像にエイリアシングがどれだけ含まれているか,また高周波成分がどれだけ消失しているかに大きく依存します。 一方「フレーム内超解像」は,失われた情報を類推するもので極端な不良設定問題のため,そのままでは当然解けない問題ですので,大胆な仮定や前提を置く必要があります。その問題を解く一つの典型的な例が,事例データベースの手法ですが,これはどのような事例を利用するかによって,大きく結果が変わりますし,あらかじめ利用できる事例以上のものは出てきません。さらに,この場合は真のデータを持ってきているわけではなくて,他の似たものをもらってきて代用するということを行っているため,結果の信ぴょう性を保証することは原理的に困難だといえます。
ですから,このようなことを踏まえた上で超解像を利用する必要があると思います。例えば,テレビなどは人が見てきれいだと感じれば十分ですからフレーム内超解像でも問題はありません。しかし,犯人を特定するための証拠を見つけようというような場合には,冤罪を発生させることになりかねませんので,注意が必要です。
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東京工業大学 奥富 正敏
1981年,東京大学工学部計数工学科卒業。1983年,東京工業大学大学院理工学研究科制御工学専攻修士課程修了。1983年,キヤノン(株)入社,中央研究所勤務。1987年~1990年,米国カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学科 客員研究員。1993年,東京工業大学より博士号(論文博士)を受ける。1994年,東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻 助教授。 2002年,同大大学院理工学研究科機械制御システム専攻 教授,そして現在に至る。