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1つステップを超えるには大きな目標を一緒になって苦労を分かち合う仲間の存在が重要東京工業大学 大山 永昭

医療は患者の目線で見なければいけない

聞き手:次から次へと出てくる課題に対して対応していくことは楽しいですか。

大山:楽しいですよ。課題が少しずつでも解決していくわけですからね。周りから「医療は本当に進んだ」と言ってもらえれば幸いです。「IXは本当にできちゃったね」と言われています。あとは,投資に対する効果を見極めながら,情報化を進めることが重要ではないでしょうか。
 課題はたくさんあります。結果が出ないというのも何度も経験しています。だからこそ,緻密に積み上げなければ駄目で,1か所でも抜けがあると全部に影響します。特に私たちがやっているのは,多数のステークホルダーがいるため,彼らの協力をもらわなければできないことが多くあります。その意味では,周りとしっかりコミュニケーションを取ることが極めて重要です。あとは,共通するゴールを目指して協働できるかどうか,いわゆる仕事仲間になれるかどうかです。そのためには,同じ志を持てるかどうかが,かなり重要です。

聞き手:コミュニケーションをよくするのに,気を付けていらっしゃるのはどんなことなのでしょうか。

大山:できるだけお酒を飲むときなど,一緒にいる時間を持つことと考えています。それと,それぞれの立場を理解し,尊重することだと思います。
 私は医療関連の話をするときには,我々チームの見方は「患者さんファースト」ですと言っています。言い換えると,患者さんの目線で見ることと考えています。医療機関をお客さんと思ってビジネスを行っている企業は,当たり前ですが,沢山あります。視点の違いが,大きな課題に対して,より建設的な答えにつながる,いわゆるイノベーションになると感じています。目指すものとしては医療分野に内在する社会課題の解決であり,投資対効果を確認しながら進めましょうということです。
 先ほども触れたように,電子的なお薬管理システムの構築を計画していますが,この計画に参加するため,訪問看護師を行っていた看護師さんが私のチームに入りました。在宅療養における残薬の課題は,彼女が現場経験により得たものです。さらに今年度は,東京医科歯科大学のM2の学生さんが修論の研究で私のチームに参加しています。彼は家庭医です。今後,増加が予想される在宅療養における課題を明らかにし,解決策を研究することを,我々のチームは目指します。これからも関連省庁はもちろんのこと,医師会や薬剤師会,歯科医師会,看護師協会のような国家資格に基づく団体,さらには保険者団体とも協力して,計画を進めたいと考えています。

聞き手:いろんな人たちがいろんな立場で声を出していかないと分からないということですね。

大山:私のチームの専門は,情報システム系ですので,彼らとはお互いに足りないところを補いあっていくことができます。  でも,うまく新しいシステムが稼働するようになれば,その仕組みの運用は現場に委ねられます。このことを意識して,実証実験の時から,実験に参加いただいた現場の方々の意見や提案を聞いて,改善点や残された課題等を明らかにすることにより,計画全体をブラッシュアップしたいと考えています。
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大山 永昭

大山 永昭

●大山 永昭(おおやま ながあき)氏 ご経歴
1983年 東京工業大学 像情報工学研究施設 助手 1988年 東京工業大学 像情報工学研究施設 助教授 1993年 東京工業大学 像情報工学研究施設 教授 2000年 東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 教授 2005年 東京工業大学 像情報工学研究施設 教授 2010年 東京工業大学 像情報工学研究所教授 2016年 東京工業大学科学技術創成研究院教授 現在に至る
●研究分野
医用画像工学,光情報処理,社会情報流通システム
●主な活動・受賞歴等
1995年 科学技術庁長官賞 1997年 通商産業大臣表彰 2000年 郵政大臣表彰 2005年 総務大臣表彰 2010年 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)

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