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実験屋はシミュレーションを過信せず,実験結果に真摯に向き合ってほしい富山県立大学 野村 俊

卒業式での挨拶

英語力とシミュレーション技術の両方を身につけてほしい

聞き手:研究開発をされている若い技術者や学生の方々へのメッセージをいただけますでしょうか。

野村:新しい視野を広げる意味からも,いろいろな分野の研究に興味を持って頭を突っ込んでみたり,人との出会いを大切にすることをお勧めします。そして,依頼された研究や共同研究は相手の要求することをよく理解して,お互いに納得しながら研究を進めていくことが大切だと思います。また,期限を守ることも大切ですね。
 特に伝えたいことは,英語力とシミュレーション技術の両方を,工学部の実験主体の機械系の学生に身につけていただきたいと思います。
 まず,英語の論文を読むことや留学生に接する時間が,各々の学生に十分にあったかというと,どうなのでしょうか。
 これからは,これまで以上に英語の論文で評価されるようになるでしょうし,いくら自動翻訳が今後発達したとしても,英語を避けるようなことにならない環境作りをすべきだったかなと思います。今後の先生方には,より積極的な英語の使用を薦めたいと思います。海外の学会に参加するだけでなく,中・短期の留学や,留学生の受け入れ等もいいのではないでしょうか。
 ただし,英語が大事だからといって,小さいころからの英語教育はなしですね(笑)。母国語の基礎がきちんとできあがるまでは,日本語でまず考えて,日本語で話してください。もうひとつのシミュレーション技術については,実験屋というのはシミュレーション結果を信じたいのです。
 でも,ちょっと待てよ,その結果は本当なのか?と考えないといけないと思います。
 例えばシミュレーションにも色々なものがありますが,ミクロンオーダーを切ってナノオーダーの精度になった時に,シミュレーション結果と現実とをどう合わせるか,というのは,私はちゃんとできていないと思うのです。
 もちろん,実験と合わせ込んでいると思いますが,そこから条件を変えた時のトレーサブルをどう保障するか,世の中のシミュレーション結果の定量的な結果は要注意だと思います。
 このあたり,高精度な計測ができる実験屋がシミュレーション結果を評価すべきです。
 矛盾していることとは思いますが,工学部の実験主体の機械系の学生には,英語力とシミュレーション技術をもっともっと身につけて,世界中の方々と協力して,より技術を高めて素晴らしい研究をしてくだされば,と思います。
野村 俊

富山県立大学 野村 俊

●野村 俊(のむら・たかし)先生のご経歴
1950年 富山生まれ 1973年 富山大学工学部生産機械工学科卒 1975年 富山大学大学院工学研究科生産機械工学専攻修士課程修了 1975年 吉田工業㈱ 1976年 富山県立技術短期大学機械科助手 1981年 富山県立技術短期大学機械科講師 1989年 富山県立技術短期大学機械科助教授 1990年 富山県立大学工学部助教授 2001年 富山県立大学工学部教授 2016年 同大学退職 2016年 同大学地域就職アドバイザー 現在に至る
●研究分野
計測工学,機械力学
●主な活動・受賞歴等
1973年 日本機械学会畠山賞 1996年 とやま賞 2006年 日本機械学会学会賞 2006年,2008年 先端加工学会論文賞 2015年 精密工学会沼田記念論文賞

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