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オープンイノベーションでお客さまとギブ・アンド・テークするチームオプト株式会社 光学技術コンサルタント 宮前 博

チームオプトがビジネスモデルとしてできること

聞き手:チームオプトに入られたきっかけは何だったのでしょうか。

宮前:チームオプトについてはすでに2012年ごろには槌田さんが最初の構想をされていました。JOEMの人材育成委員会で一緒に活動していた春本さんと3人で,飲み会の後の2次会でまるで決起集会のように盛り上がったことを覚えています。最初は光学教育をビジネスにしようという話でした。そして1年後くらいに博物館を作ろうという話に広がったのです。でもいろいろ調べていくと光学教育と博物館だけではなかなか難しい。それでコンサルティングや設計請負を入れることになりました。
 この年になると,会社の枠を越えて友達になっているというのは貴重なことだなと思います。話もよく聞くし,お互いのやりたいこともああそうかとなるし,こちらの無理も聞いてもらえます。若いころはプライドもあるし,野心もあるからそれが邪魔をして,なかなか素直に交流できないということもあるかもしれません。
 今のチームオプトのメンバーは,お互いに社外の交流をやってきて,共通の思いを持っている仲間です。飲み会も含めて一緒にいる時間がものすごく長いですね。
 メンバーには個人事業主になっている人もいます。チームオプトは契約コンサルタント方式なので,他の仕事をやっていてもいいのです。例えば,別の会社に雇用関係があってチームオプトに参加していてもいいし,個人事業主で別の仕事をやってここにも参加しても構わない。私自身は当面はチームオプトを本拠地にして,何か自分の技術なり経験が生きて,ストレートにお客さんのところに届くようなことをやりたいと思っています。
 それから,日本の中で光学を必要としている人たちがもっといるのではないかと感じています。民生用のカメラのような仕事は少ないかもしれないけれど,中小企業でも扱うような産業用途の光学系,あるいは先端技術の中で光学技術が生かせる部分というのが相当あるだろうと思うのです。そういうところにダイレクトに経験が生かされれば,面白いしやりがいがあります。
 チームオプトは,個人ではできないことを複数のメンバーが集まってやることに意味があると思っています。それぞれの得意分野は光学設計の中でも微妙に違います。ですから,自分だけだと断るしかなかったことも,この人だったらできますとか,協力したらできますとか,そういうことがあるわけです。
 一人一人を一つの企業と考えると,複数の企業を結び付けるオープンイノベーションをしていることになります。ビジネスモデルとし非常に面白いし,ある意味理想的な在り方だと思います。
 お客さんのほうから考えて見ると,みんな欲しいものが個別化しています。そのお客さんのニーズを細かく見て,それに合ったソリューション提供をするには,ある程度広い範囲をカバーしつつ,小回りが利くというのが一番よいのです。それが容易になるという意味では正にカスタマーファーストな取り組みであるといえます。
 こうして,これまで光の当たらなかったお客さまに光が当てられるのではないかなと勝手に思っています。オープンイノベーションであることと,カスタマーファーストであることがビジネスモデルとしてうまく働くようにしていきたいですね。

すそ野を広げていろんな分野に魅力を感じてほしい

聞き手:最後に,光学分野の若手研究者,技術者,学生の方に向けたメッセージをいただけますでしょうか。

宮前:今は,何でもかんでも取りそろえるという時代は終わっていて,自分が本当にできることに特化していく時代になってきていると思います。そうでないところは他社と協業するとか,IoT(Internet of Things)でつながっていく。日本の企業はこれまではそういうのが苦手だったわけです。
 これからは得意分野を先鋭的に磨いていくだけではなくて,自分と全く違うのと協力する,あるいは評価する目を持つ,対話をしていくことをしないと,オープンなイノベーションはできないと思います。ギブ・アンド・テークが大事です。このことはお客さまとの関係も同じで,次はこちらが顧客になるかもしれないわけです。
 だから,企業というものに対する見方が変わってきているのかなという気がします。事業規模が大きいと確かにいいこともありますが,組織の論理に縛られたりお客さんが遠くなることがあります。もっと小回りのきく,ダイレクトな働き方もあると思います。そういう意味で,海外でなく日本の中でも技術を磨くチャンスは増えてきているのではないでしょうか。
 光学という分野は,今までとは随分景色が変わってきていると思っています。一つはレーザーの応用分野がすごく広がってきていることです。レーザーの加工,計測,プロジェクターなど,レーザーの応用分野が広がってきていて,これから一つの大きな柱になってくるのかなと思います。
 それから,照明系が結像系に近くなってきている流れがあります。例えば自動車のヘッドランプは照明系の典型だったのですが, 最近はLEDが使われるようになってきて,プロジェクターに近い構成になってきています。
 あとは赤外や分光等の計測分野,医療分野ならOCTやX線の干渉応用といった,これからすごく大事な分野になっていくものがあります。
 光学の民生用事業分野に代わるような大きな事業分野が,これまでは何か分からなかったけれども,富士山ではなくて八ヶ岳のようにいろいろ出てきている感じがしています。
 そういう分野に若手の人が魅力を感じて,光の仕事に就いてくれるといいなと思います。そんな思いもあって,入門の入門という形の「光の教科書」という本を出版して,少しでも興味を持ってもらえるよう努力しています。最近はソフトウエアも随分発達していますが,多機能になってしまって,スタートが難しいということもあるかと思います。ですから,その使いこなしのお世話をわれわれがやろうと考えています。せっかくいいソフトなのに,宝の持ち腐れになっているケースもあるようです。ソフトウエアを使いこなすことで,光学応用開発へのハードルが随分低くなると思っています。
 また,日本の中小企業では,特殊な精密機械を造れるのに設計はできないとか,分断されているところが多くあるので,埋めていけるようなお手伝いができればと思います。すそ野を少しずつ広げることで,日本の光学業界も変わってくると思っています。

宮前 博

宮前 博

●宮前 博(みやまえ・ひろし)さまのご経歴
1955年 東京都生まれ 1979年 東京大学理学部物理学科卒 1979年 小西六写真工業㈱(現コニカミノルタ㈱)入社 2003年 同社オプティカルユニット事業部長 2016年10月 チームオプト㈱光学技術コンサルタント
●研究分野
光学設計最適化理論,幾何・波動光学の基礎,光学結像理論,収差論,屈折率分布型素子,回折光学系,レーザー光学系設計,ズームレンズ設計
●主な活動歴
(一社)日本オプトメカトロニクス協会人材育成委員長,(一社)日本光学会監事
●チームオプト株式会社について
チームオプト株式会社は日本の光学産業発展に貢献したいとの理念を掲げ,2015年10月に設立した光学技術コンサルタント会社。光学メーカーや研究機関等で光学技術についての豊富な経験を積んだメンバーを集め,光学設計(カメラ,顕微鏡,光ピックアップ,照明用レンズ,ズームレンズ,回折レンズ等)はもちろん,光学理論,光学測定評価,光学ソフトウエア,先端光学技術など多岐にわたるコンサルティングや教育を行う。
URL: http://www.team-opt.co.jp/

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