【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

すこしだけ待てば次の朝,光学はまた楽しくなるモンタナ州立大学 Joseph Alan Shaw, Ph. D.

OpTeCは様々な研究者と企業をつなげる傘

聞き手:Montana State Universityの特色でもあるOptical Technology Center(OpTeC)についてお教えください。

Joseph:それはなかなか良い質問ですね。実は私も最近,OpTeCの歴史を調べていました。OpTeCは,光科学技術の急速に成長している分野の大学と企業の提携を促進するために1995年に設立されました。学術的な中心地であるMontana State Universityの学生,教員,産業,およびその他の産業パートナーと実践的な問題の解決策を見つけるために協力し,光技術のための新しいアプリケーションを発見するための機会を提供しています。
 OpTeCのあるモンタナはすごく綺麗なところです。大きい街ではない,日本に比べると街はとても小さいですが,雄大で自然も多い。近くにはイエローストーン国立公園もあり観光客が多く来ます。レーザーを買うためにモンタナまで来る人はありません。しかし,それは変わり始めています。私たちは計画書を書いて政府からお金をもらいました。そのお金は,研究の実験装置を買うのではなく,新しい教授の採用や新学部を作るために使いました。私もそのうちの一人です。
 そうしてOpTeCは成長し,私がPresent Directorになることを依頼されました。その時の自分はまだ若くてPresent Directorになるにはふさわしくないと思っているので,最初は断りました。しかし自分が光学に関する学位を取得したので,Present Directorになるなら一番ふさわしいと言われて,そこで自分が「はい,やります!」と答えました。それ以来,お互いの成長が続いています。
 今でも様々な学科から学生が来ています。物理や電気の学生や科学の学生も来ています。サイエンス関係の学生は少ないですけど,レーザー分光学をやっている人たちもいます。
 そしてオプティクスに関するプログラムコースが必要ということで,最近,オプティクスとフォトニクスに関する博士前期課程のコースができました。どんな学科の学生でも歓迎します。
 次には,博士前期課程のコースを作ると共に学部マイナーというコースを作りました。これは学部生が光学に関する授業を受けつつ,自分の専門学科に所属します。例えば,所属は電気工学部かもしれませんが,同時に2番目の専門として光学を学ぶのです。
 それで学生が就職活動の時など,自分のマイナー専門が光学であり,基礎知識を有することを会社に伝えることで,企業にも採用するメリットが分かりやすくなります。
 OpTeCにはほかと違い,センターに属している研究室はありません。OpTeCは物理であれ,工学であれ,化学であれ,様々な専門から来た人たちと企業をつなげる傘として,毎年ミーティングを開催して交流を深めています。
 これはとても重要で,例えば博士後期課程の学生と,会社の部長として勤めている10年前の博士後期課程の学生だった人が交流できます。このようなつながりができることで,仕事を探す時の助けになります。
 また,研究室で生徒の就職のために,新しい会社とつながりを持ち始めています。中には従業員が一人か二人しかいないような小さな会社もあります。大学の人は普通,会社に手を伸ばさないですし,会社が必ずしも答えてくれるとは限りません。しかし,まだ新しく小さい会社には,私たちと提携したいという会社があります。
 今後は博士後期課程のコースも開設したいです。どんな学生でも歓迎します。特にオプティクス関係の学生は大歓迎です。また,将来は光学の教育と研究センターの中心として名を知られることです。ツーソン程ではないにせよ地図に載ってほしいです。
 モンタナはとてもいい場所で,ほとんどの学生たちがずっとここにいます。大学を卒業したあと,サンフランシスコのような大きな都市でいい仕事を見つけるか,モンタナで頑張って自分の会社を作るかのどちらかを選べます。そのほか,どこかで仕事をして5年ぐらいたってから家族と一緒にモンタナに戻る人たちもいます。私たちも研究者として採用することをはじめとして,さまざまなサポートをしています。

他人と違う,変わっていることをやりましょう

聞き手:最後に光学分野の若手技術者や学生などに向けて光学分野の面白さやメッセージをお願いします。

Joseph:学生や研究者に言いたいことは,常に自分の心に従うことです。そして,そのうえで他人の意見を聞き,人と人の関係をどのようにつなげるのかを考えることです。
 我々はいつも自分のやりたいことだけをやって,他のことはあまり考えていません。しかし,たまにはもっと創造力を高め,より創造的なアイデアを出してほしい。
 そしてもし今の場所や会社で自分ができる仕事を見つけられなかったら,自分で会社を起こしましょう。他人と同じことをやらなくてもいいのです。他人と違う,変わっていることをやりましょう。他人と全く違う人物になれないかもしれませんが,たまには少しだけ違うことをやってもいいのではないですか。自分の心を信じ,少し他人と違うことをやってほしいです。
Joseph Alan Shaw

Joseph Alan Shaw(じょせふ・あらん・しょう)

University of Alaskaで電子工学を専攻し,University of Utahで電子工学の修士,University of Arizonaで光学の修士とPh.D.を取得。
Montana State University のOptical Technology Center(OpTeC)の,present Directorを務める。SPIEとOSA会員。
●研究分野
光学リモートセンシング機器の開発,放射測定と偏光イメージングとライダーのキャリブレーション

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