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辛辣な人との出会いや自分の失敗が自分の潜在能力を引き出してくれるニューヨーク州立ストーニーブルック大学客員教授(放射線医学) 谷岡 健吉

おやじが生きていたら高知市で開業医をやっていた

聞き手:工学の道に進んで,映像の研究に進もうと思った経緯をお聞かせください。

谷岡:私はNHKで研究をしていましたし,部長や所長をして博士号も持っていますので,皆さんからNHKの研究エリートだと思われているのですが,全くそうではないので,逆に珍しがられることがあります。
 少年時代,私は理科が好きな少年でした。高知市立の潮江中学の科学クラブに入っていました。私はおやじが生きていたら,多分後を継がされて,高知市で開業医をやっていたと思います。父は明治生まれの変わり者で,私が10歳のときに,本人は死ぬつもりはなかったと思いますが,夜元気で寝て,朝起きたら脳出血で死んでいたという状況でした。それで,母子家庭となって,進学をあきらめて工業高校に行ったわけです。
 1966年に,私は高知工業高校の電気科を卒業してNHKに入局しました。1971年だったでしょうか,NHKに高卒で入った技術者を東京で勉強させる制度ができました。大学の授業料,滞在費を出してくれて,給料もいただける制度で,四国で1人,九州で1人という制度でしたが,たまたま四国の中で手を挙げたら通りまして,早稲田の理工学部に1年行かせてもらいました。そのときに技研に行って,研究実習をしたことが,私の運命を変えることになります。 <次ページへ続く>
谷岡 健吉(たにおか・けんきち)

谷岡 健吉(たにおか・けんきち)

1948年 高知県高知市生まれ 1966年 高知県立高知工業高校電気科卒業 1966年 NHK高知放送局入局 1976年 NHK放送技術研究所に異動 1989年 同研究所 映像デバイス研究部主任研究員 1994年 博士(工学)(東北大学) 1995年 イメージデバイス研究部 副部長 1997年 撮像デバイス 主任研究員 2000年 撮像デバイス部長 2004年 放送デバイス 部長(局長級) 2006年 放送技術研究所 所長(理事待遇) 2008年 定年退職 2008年~2015年 高知工科大学客員教授 2011年~東京電機大学客員教授(工学部) 2015年 ニューヨーク州立ストーニーブルック大学客員教授(放射線医学)
●主な活動・受賞歴等
1982年 鈴木記念賞「Se系光導電形撮像管のハイライト残像とその改善」 1983年 放送文化基金賞「高性能カメラの開発」 1990年 放送文化基金賞「高感度・高画質HARP撮像管の開発」 1991年 市村学術賞 功績賞「超高感度・高画質撮像管の開発と実用化」 1991年 丹羽高柳賞 論文賞「アバランシェ増倍 a-Se光導電膜を用いた高感度 HARP撮像管」 1991年 SMPTE Journal Award 「High Sensitivity HDTV Camera Tubewith a HARP Target」 1993年 高柳記念奨励賞「ハイビジョン用高感度HARP撮像管の開発」 1994年 大河内記念技術賞「アバランシェ増倍型高感度撮像管の開発」 1996年 全国発明表彰 恩賜発明賞「超高感度撮像管の開発」 2002年 放送文化基金賞「超高感度ハイビジョン新Super-HARPハンディカメラの開発」 2008年 文部科学大臣表彰 科学技術賞「微小血管造影法の研究」 2008年 産学官連携功労者表彰 日本学術会議会長賞「リアルタイム3次元顕微撮像システムの開発及び細胞内分子動態リアルタイム可視化研究」 2012年 前島密賞 2012年 丹羽高柳賞 功績賞「アバランシェ動作方式超高感度高画質撮像デバイスの研究開発」

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