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時間がかかっても,正確なデータを出せばそのデータはずっと使える宇都宮大学 阿山 みよし

見えることそのものが面白い

聞き手:最後に光学分野の若手技術者や学生などに向けて光学分野の面白さやメッセージをお願いします。

阿山:光の分野は今,だいぶ拡大解釈になっていてフォトニクス&オプティクスです。見えないものも,光として扱われていますが,光の本当の定義は人間の目に入っている視感覚を生じさせる,そういう電磁波のことです。ライトというのはビジブルな電磁波なのです。そういう意味では,特に光学の中のそれを扱う部分,私は視覚科学なのですけど,そこは見えることそのものが面白い。 remark71_2  ディスプレイでも,色でも見えるということが,どういうメカニズムでどう見えているのかというのを探求していくということが面白いところです。ナノフォトニクスとかをやってらっしゃる方は,見えないものを探求しているところが面白いとおっしゃるかもしれないけど,その逆かな。やはり見えるから面白い。あと,目ですから,一人一人がみんな持っていますよね。それが面白い。自分も持っているという目の科学を探求しているのも面白いと思います。
 これから光の分野を目指す人に対しては,基礎的なところをしっかり勉強してほしいです。自分の専門と言えるところを,学生のうちにしっかり身に付けるというのがすごく大事だと思います。
 私の場合は視覚科学というのをたたき込まれました。研究のテーマを考える時,発想の源になるのは,学生の時にしっかり勉強した視覚科学です。だから,基礎をしっかり勉強するということはすごく大事です。それときちんとした装置で,きちんとした刺激を作って,正しく測定して,正確なデータを出す。その時は時間がかかっても,そういうデータはずっと使えますから。視覚科学の場合は人間が相手なので,結構データベースが貴重なのです。だから,古いデータは古いのだけど,それでもすごく役立つのです。例えば,今やっている実験の結果を,25年ぐらい前に東工大で助手をやっていた時に出したデータと比較しても,すごくきれいに説明できるのです。
 教える立場で考えると,卒業研究で面白いと思ってもらえるような,そういうテーマを与えることも大切かもしれないです。卒業研究は,なかなかものにならなくても取りあえず卒業してもらえば……というものも少なくないのですが,やはり,そこで面白いと思った人が,ずっとマスターやドクターに進んでいますから。実際に私もそうでしたし。
 それと,やはり語学も大事です。サイエンス,エンジニアリングの世界は,英語が国際語ですから,若いうちに1年でも2年でも留学,もしくは外国の大学で学位を取るとか,英語で困らないようにするのは大切ですね。私も全然十分ではないのですが。
阿山みよし(あやま・みよし)

阿山みよし(あやま・みよし)

1954年 東京都生まれ 1983年 東京工業大学大学院総合理工学研究科物理情報工学専攻博士後期課程修了 1983年 ヨーク大学心理学科ポスドク 1985年 東京工業大学総合理工学研究科助手 1989年 東京都神経科学総合研究所流動研究員 1993年 宇都宮大学工学部情報工学科助教授 2001年 宇都宮大学工学部情報工学科教授 2015年 大学院工学研究科先端光工学専攻教授
●研究分野
視覚科学,色彩科学,照明評価,感性工学の研究
●主な活動・受賞歴等
映像情報メディア学会,応用物理学会,照明学会,日本光学会,日本視覚学会,日本色彩学会,OSA,SID会員,昭和58年照明学会研究奨励賞(照明学会) 昭和62年度光学論文賞(応用物理学会光学懇話会) 第12回(平成6年度)色彩学論文賞(日本色彩学会) 第5回(平成24年度)日本色彩学会論文賞(日本色彩学会)

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