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時間がかかっても,正確なデータを出せばそのデータはずっと使える宇都宮大学 阿山 みよし

ものすごく忙しくて挫折している暇もない

聞き手:研究・開発プロセスにおいて,自信を喪失されたり試行錯誤して苦悩された苦いご経験がありましたら,ぜひそのエピソードをお聞かせください。

阿山:挫折がないわけではないのですが,あまり理想が高くないと言いますか,物事をあまりネガティブに考えないので,シリアスな挫折感というものはあまりないのですけれども。
 自分では鈍感力と言っています。でもそれは,ここ15年ぐらいはものすごく忙しくて,いろんなことが次から次へと来るから,挫折している暇もないと言うか。
 ただ,思いかえしてみると論文にならなかった研究というのは結構たくさんありましたね。企業と共同研究を結構やっているのですが,企業には先方が欲しい実験データを提供し,応用的なテーマに隠れている視覚のメカニズムの本質に迫るような問題を見つけ,そういう視点からデータを解析して論文にするのが,アカデミアとしての私の立場から見たミッションだと思っています。それが両方できれば,一番ウィンウィンですよね。でも,そのためにはやはり,私が学生時代とかポスドクのころにやっていたように,十分,突っ込んでいかないと駄目なのです。そこまでのデータが取れる前に,研究期間が終わったり,学生が卒業して出て行ったりしてしまうのです。あともう少しで,すごく面白い論文になるのだけど,そこに届かなかったのでお蔵入りになっているデータというのは結構あって,それはなかなかの挫折感ですね。それをそのまま,次の年度で新しい学生さんにとも思うのですが, 次の研究のオファーが来るとか,学生が興味を持たないとか,実験場所を確保できないとか,いろいろな事情で継続できないことが多いです。せいぜい国際会議発表で終わってしまったデータが結構あり,それはすごく残念に思っている部分があります。このごろは,もったいないから企業との共同研究は終わっても,なんとか続けられるような取り組みをするようにしていますけれども,自分の定年も見えてきていて,もっと早くそういうふうにすれば良かったなと思っています。 <次ページへ続く>
阿山みよし(あやま・みよし)

阿山みよし(あやま・みよし)

1954年 東京都生まれ 1983年 東京工業大学大学院総合理工学研究科物理情報工学専攻博士後期課程修了 1983年 ヨーク大学心理学科ポスドク 1985年 東京工業大学総合理工学研究科助手 1989年 東京都神経科学総合研究所流動研究員 1993年 宇都宮大学工学部情報工学科助教授 2001年 宇都宮大学工学部情報工学科教授 2015年 大学院工学研究科先端光工学専攻教授
●研究分野
視覚科学,色彩科学,照明評価,感性工学の研究
●主な活動・受賞歴等
映像情報メディア学会,応用物理学会,照明学会,日本光学会,日本視覚学会,日本色彩学会,OSA,SID会員,昭和58年照明学会研究奨励賞(照明学会) 昭和62年度光学論文賞(応用物理学会光学懇話会) 第12回(平成6年度)色彩学論文賞(日本色彩学会) 第5回(平成24年度)日本色彩学会論文賞(日本色彩学会)

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