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コバルトブルーに魅せられて -前人未到のGaN p-n接合への挑戦-名城大学 / 名古屋大学 赤崎 勇

未到の頂

 ふりかえると,1970~80年代前半まで,p型伝導は窒化物半導体では不可能ではないかと言われていた。それにあえて挑戦したわけです。しかも,はじめはたった一人で!
 それまで厚い雲に覆われて,誰も見たことがなく,あるのかさえ分からない”未到の頂”に,誰も登ろうとせず,また行けなかった時に,その存在を信じて暗く険しい山道を登って行ったようなものではないでしょうか。そして,ついにその先に神々しい崎嶬とした頂があることをつきとめたのです。
 ふり返ってみると,バッファー層技術の開拓により格段に高品質な結晶を作り,これで展望が開けたと発表したときも,日本ではあまり評価されませんでした。
 最後に,まとめとして,「これから新たな道を切り開く若い研究者が夢をもてるように,先駆者の業績を評価する風土を育てたい」と思います。
赤崎 勇(あかさき・いさむ)

赤崎 勇(あかさき・いさむ)

1952年,京都大学理学部卒業。同年,神戸工業(株)入社。59年,名古屋大学工学部電子工学科助手,同講師,同教授を経て64年,松下電器産業(株)入社,東京研究所基礎第4研究室々長,同半導体部長等を歴任。81年,名古屋大学工学部電子工学科教授。92年,名古屋大学定年退官。同年,名城大学理工学部電気電子工学科教授,名古屋大学名誉教授。95?96年,北海道大学量子界面エレクトロニクス研究センター客員教授。96?2001年,日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業プロジェクトリーダー。96年~,文部科学省 名城大学ハイテク・リサーチ・センタープロジェクトリーダー。2001年,名古屋大学赤崎記念研究センター(兼務),そして現在に至る。
工学博士,IEEE Fellow,日本フィンランドインスティチュート理事,フランス共和国モンペリエ市名誉市民,科学技術振興事業団 参与(02年~)など。 1995年,ハインリッヒ・ウェルカー金メダル。97年,紫綬褒章。98年,ローディス賞。98年,ジャック・A・モートン賞。99年,米国国体科学技術賞。2000年,東レ科学技術賞。01年,朝日賞。02年,第2回応用物理学会業績賞(研究業績)。02年,藤原賞など多数受賞。

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