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人より早く始めることでエキスパートとしてさらに上位の仕事を目指すNPO法人 三次元工学会 会員 林 洋一

経験が次の仕事を呼んでくる

聞き手:最後に光学分野の若手技術者や学生などに向けて光学分野の面白さやメッセージをお願いします。

:光学分野に限らず,一般的なお話をさせていただきたいと思います。何億円もの大型システムを開発,販売できたのは,私が先駆けて非接触測定機に着手した結果だと思います。実力が不足していたためにユーザーに多大なご迷惑をかけましたが,好きな仕事ができて非常にやりがいがありました。
 失敗も経験として仕事が続いていったと思っています。
 技術者は,実現の可否を聞かれた時にまずはできないと言い,さらに頼まれて重い腰を上げて,できれば手柄,できなくても「やっぱりできませんでした」と言ってしまうのが常套手段でした。とにかく失敗をしなければ良かったのです。今後は特に会社も個人も絶えず新しいことを提案していかなければなりません。経験が次の仕事を呼んでくると思います。ですからこれはと思う新しい仕事に積極的にチャレンジしてみてはどうでしょうか。人より早く始めることで,エキスパートとしてさらに上位の仕事を目指すことができます。  その他には,新しい装置を提案するためのプレゼンテーション能力,お客さまに購入を決断してもらうための交渉力,アイデアを豊富にするための訓練も行うのが良いと思います。
 以前,アメリカ人の開発者と一緒に仕事をしたことがあります。彼らはある試みに失敗した場合でも,別なアイデアが次から次へとわいてきます。彼らにとって失敗とは新しい試みを始めるためのスタートと考えているようで,悪びれた様子もありません。また,彼らの説得力には圧倒されます。議論やプレゼンテーションも非常にたけています。ディベートという討論形式がありますが,自分の意見と違う側に立っても自信満々に主張することができるのには,恐れ入ります。日本人も見習うべきでしょう。
 ある自動車会社に勤める人から聞いた話では,アイデアを豊かにする方法として作業効率の向上やコスト削減のために社員から改善提案を募集しているそうです。その特に最初から作業効率が10%向上する,あるいは10万円コストダウンを狙うと失敗すると言います。最初は1%でもいい,数千円でも良く,これを繰り返すことで大きな改善提案につながる。これが成功体験となって次のアイデアがうかぶようになるのだそうです。
 最近ではいろいろと発想法の本も出ているようなので,これを試す手もあります。会社に入る前からトレーニングをするのもいいと思います。
 私は数学が得意ではなかったのですが,周りに得意な人たちがいて,話し合いの中で数式を理解していきました。多少幸運な環境であったかもしれませんが,得意でなくても恐れる必要はないというのが私の意見です。ただ,公式集は使えたほうが良いと思います。
 最後にオプトンの輿語社長からお聞きした開発環境作りのポイントを紹介します。まず「人のアイデアは批判しない」。いくら実現性に問題がありそうでも,アイデアを持っている人が勝ちで,その人の方針で進めてみる。時間があったらカタログを読む。そうすることで現在の技術のレベルが分かる。そして「やらない」よりも「やって失敗する」ほうが良い。もちろん「やって成功する」ことが最良の評価である。ぜひ積極的に挑戦していってほしいと思います。
林 洋一(はやし・よういち)

林 洋一(はやし・よういち)

1950年 北海道札幌市出身
1972年 北海道大学応用物理学科卒業
1972年 日本アビオニクス株式会社入社
1980年 株式会社三菱総合研究所入社
1990年 株式会社オプトン入社
2010年 株式会社オプトン退社
●研究分野
非接触三次元形状測定

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