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苦労して,問題に真面目に向き合って解決した人たちというのは強くなる東京工業大学栄誉教授 末松 安晴

光技術は電子映像文明という,大きな文明をもたらしている

聞き手:最後にこれから光学分野において活躍を目指す若手研究者・技術者,学生に向けて,メッセージをお願いします。

末松:光技術は主に情報を伝える,あるいは情報を捉える,情報を知るという分野の主役である。もう1つは,エネルギーとして捉えられる側面があります。
 人間の情報の9割は目からといわれますが,目は光の受光器です。そして,その情報を目に伝えるのはディスプレイです。ディスプレイというのも,これは光でしかできません。だから,人間が情報を取り込むのは光技術を通してです。そして,こうした情報を素早く大量に世界中へ伝える技術分野で光が活かされている。さらに,エネルギーです。太陽というエネルギーソースがあり,それを取り込むという活動があるわけです。これだけ重要な役割がそろっている技術分野は,ほかにはありません。大変面白い学術分野で,そして重要な技術分野だということです。
 光ファイバー通信が出てきて,大量の世界の情報を瞬時に扱えられるようになりました。それまでの情報伝達は文字が主体の紙文明でした。その基本となるのは,印刷機です。それまでの文明はグーテンベルクの活版印刷技術で広められる知識に依存して発展してきました。しかし,スマートホーン,情報検索,テレビ,ネットビジネス,電子情報,産業や医療応用,そして教育など,情報を送る大容量長距離光ファイバー通信技術が,情報機器や電子表示などと共に,電子表示文明と呼ばれるような新しい文明への変革をもたらしているのではないでしょうか。私は今,高柳健次郎財団のお手伝いをしています。高柳健次郎博士は,1926年12月に世界で初めて,独自に開発した受像用ブラウン管上に「イ」の電子表示を達成しました。人類にとって非常に大きな出来事ですから,12年後の100周年に向けて記念の準備を進めています。
 光技術の世界は急速に伸びています。レーザーやパネルディスプレーの第一世代の技術から,光技術を高度に駆使し,目への直接表示などを含む第二世代へ向けた飛躍への転換点にあると言われています。若い方々には,ぜひ光技術の革新的な発展に取り組んでいただきたいですね。
末松 安晴(すえまつ・やすはる)

末松 安晴(すえまつ・やすはる)

1932年 岐阜県生まれ 1951年 岐阜県立中津高校卒業 1955年 東京工業大学理工学部電気工学コ?ス卒業 1960年 東京工業大学大学院理工学研究科修了(工学博士) 1960年 東京工業大学理工学部電気工学科助手 1961年 東京工業大学理工学部電気工学科助教授 1967年-1968年 オハイオ州立大学 文部省在外研究員 1973年 東京工業大学工学部電子物理工学科教授 1989年 東京工業大学学長に就任 1997年-2001年 高知工科大学学長に就任 2001年-2005年 国立情報学研究所所長に就任 2010年 高柳健次郎財団理事長 2011年 東京工業大学栄誉教授
●研究分野
光通信技術,レーザーデバイス
●主な受賞歴等
1983年 ワルデマー・ポールセン金メダル 1983年 コミュニケーション功労者内閣総理大臣表彰 1986年 デビット・サーノフ賞 1989年 東レ科学技術賞 1994年 ジョン・チンダル賞 1994年 C&C賞 C&C財団 1994年 放送文化賞(日本放送協会) 1996年 紫綬褒章 1997年 エドワード・ライン賞 2003年 IEEEメダル(ジェームス・マリガンJr. エヂュケーション) 2003年 文化功労者 2006年 瑞宝重光章 2014年 日本国際賞

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