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企業現場で培った光学知識・技術を大学教育に活用高島 譲

光学は汎用性が高く将来性のある学問

聞き手:日ごろから,講義などを通じて光学分野での活躍を目指す学生の皆さんに向けてお話される機会も多いと思いますが,あらためてそうした学生に向けてメッセージをお願いします。

高島:私から,そのようなメッセージを伝えるのはとても気が引ける思いですが,あえてお話するならば,“光学はどの分野においても学べる”ということです。レンズ光学や光学システム設計は一見,非常にニッチで狭い分野であるとのイメージがありますが,実はそこにとどまらずに生物学や機械工学,化学など他の学問分野に携わる研究者や学生が光学の要素や機構を採り入れて活用してもいいわけです。1つの先入観で,光学を“伝統芸能”のようにとらえて用途を限定することなく,あらゆる分野に通じる学問,技術としてオープンに広めていければいいと考えています。たとえ光学技術者にならなくても,光学を学ぶことでその知識や技術を他のさまざまな分野に生かすことができるのです。つまり,各分野のエキスパートが光学を学び,理解することで応用することも可能です。一方,光学技術者であれば,光学の汎用性ゆえに光学以外の分野をいろいろと知り経験することになります。いずれの場合でも,言うまでもなく現代の技術者においては,光学は避けて通れない状況にあり,ヘルスケア,バイオメディカルなどの医療系,宇宙系,通信系,エネルギー系,食料系などどの産業分野においても光学は無視できない状況になっています。こうして考えると,光学は汎用性の高い分野であり非常に興味深い学問と言えるでしょう。
 また,光学分野に限定したことではありませんが,学問を学ぶ上で自分自身,分からない,理解できないことがあれば,その学問に詳しい方に「分かりません。教えてください」と率直に訴ったえてほしいと思います。そこで,格好を付けて聞かずにいると,そこで学ぶことは止まってしまいます。そういう私も米国に留学して間もないころは,分からないことを聞くのがとても苦痛でした。講義室や研究室で質問するにも,私はこんな質問をしてもいいのだろうかと迷った末に聞かないこともありました。ただし,ある時から「やはり,分からないところは質問するしかない」と思うようになりました。日本の諺にもあるように,「聞くはいっときの恥,聞かぬは一生の恥」です。学生さんの中には「分からないから,課題ができないよ」と言う方もいますが,そんなときは「今から勉強すればいいよ」と声をかけるようにしています。
 私が准教授を務めるアリゾナ大学光科学部では,光学の研究を希望する学生さんはもちろん,日本の技術者の方々に対しても体系的にオプティカルサイエンスやエンジニアリングを学べる環境を整えています。例えば,現在開講中のWebベースでのディスタンスラーニングのクラスは,日本に居ながらにして,アリゾナ大学光科学部の光学に関する授業を受けることができます。光学分野を目指す方々はもちろん,それ以外の学問分野を目指す方々の受講も大歓迎です。同クラスは学部学生の方々でも受講はできますが,お薦めするのは大学院生レベル,また技術者の方々ということになります。このような学生さんや技術者の方々が積極的に学べるように,教授陣は助力を惜しまず親身になって対応します。
 今後さらに,アリゾナ大学から多くの優秀な光学研究者,光学技術者が輩出されるように,私自身は学生に向けて光学の有用性や有効性,そしてその魅力についてきちんと伝えていきたいと思っています。
高島 譲(たかしま・ゆずる)

高島 譲(たかしま・ゆずる)

1990年京都大学理学部物理学科(学士)卒業・取得。1990年(株)東芝入社(生産技術研究所 精密技術研究部に配属)。2000年スタンフォード大学電気工学科リサーチアシスタント。2003年スタンフォード大学電気工学科(修士課程)修了。2007年同大学電気工学科(博士課程)修了,同科ポストドクター。2010年スタンフォード大学電気工学科リサーチアソシエイト。2011年アリゾナ大学光科学部准教授(カレッジオブオプティカルサイエンス在籍)
●SPIE(国際光工学会),OSA(米国光学会)所属

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