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世に出ていない最先端の技術と装置の創出を目指して(株)フォブ(FOV) 代表取締役 大出 孝博

独自健康法の実践と愛車の整備で心身を健康に

聞き手:大出社長は日々お忙しいゆえに健康にも留意されているとのことですが,どのような健康法を実践されているのですか。

大出:実は5年ほど前に糖尿病を患いまして,それ以来,健康にはひときわ気を遣っています。一病息災と言いますが,まさしく一病を患ったことがきっかけで健康に留意するように考えを改めました。それまでは,大病を患うこともなく健康には絶対の自信を持っていたのです。父と母に「こんなにいいハードウエアを授けてくれてありがとうございます。いつもソフトウエアの更新が遅れてすみません。」と冗談を言っていたほどでした(笑)。
 ところが,尿管結石が原因で病院に行ったところ血液検査で糖尿病の診断を受けまして,それで再び検査入院することになったのです。1週間ほど検査入院したのですが,その間,検査以外の時間は糖尿病に関する本を山のように読みました。その結果,糖尿病が非常に恐ろしい病気であり,寿命が10年は縮まると言われるほど,決して甘く見てはならない病気であるということが分かったのです。私は,高校時代の親友を7年ほど前に同じ病気で失っているので切実に感じました。「自分の体は自分でケアしなければいけない」と痛感し,それ以来意識して健康管理をするようになり,3カ月間で血糖値をはじめ血液検査の全項目の数値を正常範囲に入れることができました。ちなみに,薬はあまり好きではないので何も服用していません。
 今実践している健康法は食事摂取の仕方,冷水浴,ウォーキングの3つです。食事摂取の仕方では,胃や腸を休ませるため,1日3食ではなく2食にしています。消化サイクルの完了には約18時間を要すると言われるため,理想的には18時間を空けたいのですが,それはなかなか難しい。そこで,私の場合はその18時間を勝手に3時間短縮して“15時間ルール”として前日の夜9時から翌日の正午まで食事を控えています。もし何かの事情で夜9時迄に夕食が終わらなければ,次の日は昼食も抜いて1日1食です。これでも,全然困りません。
 次に冷水浴ですが,毎日風呂上りに冷水(15℃程度)のシャワーを1分間浴びています。これで肝臓機能数値のγ-GTP値は驚くほど改善しました。以前は120オーバー(成人男性の正常値10~50)だったのですが今では20程度をキープしています。アルコールの量は全く変わっていないのにです。諸説はいろいろありますが,私自身は冷水浴が肝機能を助けるという考えは正しいと思っています。
 最後はウォーキングです。自宅近くの遊歩道を毎日欠かさず, 30分ほどウォーキングしています。歩けばとても気持ちがいいですし,この程度の運動量は最低限人間に必要なのではないかと思います。実際装置を設計しているときはコンピュータの前に座ったまま1日を過ごすという日も多いので,そんな日はウォーキングで運動不足を補っています。
このような3つの健康法を,今も私が実践し続けているのは実際に体調が良くなっているからです。糖尿病をきっかけに,この健康法を実行し始めて約3カ月後には約15kgの減量に成功しました。減量後は身軽になったおかげで階段の上り下りも苦ではなくなり,仕事への集中力も増したように感じています。ただし,現時点では“人体実験中”なので,これを他の人にお薦めできる段階ではありません。後10年,20年経過してまだ私が建康で,この“人体実験”は成功したとみなせれば,「ほら,私のやり方は正しかったでしょう」と効果を実証できるわけです。そのときは,胸を張ってお薦めしたいと思います(笑)。

聞き手:健康管理に加えて,気分転換も必要と思われますが,特に何かされていることはありますか。

大出:趣味の自動車整備です。しょっちゅう自宅で車を整備していますから,近所ではおそらく私のことを“自動車整備屋さん”と思っているはずです(笑)。車は,今から20年以上前に製造された1990年型のメルセデス・ベンツです。整備に必要な部品は,以前は自動車販売店(ディーラー)を通じて取り寄せていましたが,最近は米国から通信販売で購入することが多いです。ベンツのボディーは非常にしっかりしているので,20年・20万km走っても消耗品さえ交換していけば新車同様にリフレッシュします。このような設計思想は機械を設計する者としてとても参考になりますね。余談ですが,消耗品の範疇はとても広くウオーターポンプ,ラジエーター,オルタネーター,テンショナー,コンプレッサーなどがあり,私の愛車では2巡も3巡もしています。これを自動車に興味のない人が見ると「故障ばかりしている自動車」となるのでしょうが,私にとっては日常の整備に過ぎないわけです。今の愛車の前は,1969年型のベンツに約10年乗っていました。そのベンツは手に入れた時点で,すでに生産から12年が経過しており,その間のメンテナンスがよくなかったのか,トラブルが頻発しました。とても不思議なことですが,メンテナンスの悪い自動車部品は突如“故障”しますし,逆にメンテナンスがよいと事前に劣化の兆候が現れて“行儀の良い部品交換”となるのです。
 写真撮影も趣味の1つに数えられますが,フィルムカメラの時代が去りデジタルカメラ全盛の時代になった今,いろいろなことが便利にできるようになったのとは逆に,写真をあまり撮らなくなってしまいました。私はビューカメラが好きで,スイスSinar社製のものがお気に入りです。ビューカメラはフィルムとレンズ,シャッターを全部別々に操作しますから,写真の原点に戻るような感覚が好きです。その他にも,歪みの補正を撮像段階で自由にコントロールできるなどの利点も備えているのですが,こうした利点は完全にデジタル画像編集ソフトウエア「Photoshop」に奪われてしまいました。
 以前は,自分で設計した製品のカタログ写真を自分で撮影し,フィルム現像も自分とすべて“セルフ”でこなしていました。多分レーザー顕微鏡の設計者でこんなことをしていたのは私だけでしょう(笑)。レーザー顕微鏡の画像を撮影するのも部屋を暗くしてCRT(cathode ray tube)の前にビューカメラを据えて撮影していました。前述の日経サイエンスに掲載された写真も原板は大判のポジフィルムです。編集担当の方から,「写真が綺麗ですね」と褒められて大変嬉しかったのを覚えています。
 私は,仕事や趣味にかかわらず不明な点や疑問点があれば納得がいくまで自分で考えます。例えどんなに権威のある人に教えていただいてもそのまま信じることはありません。自分で考える過程を楽しみながら取り組むことで,そこから得た知識や経験は自分自身にとって,必要な血となり肉となると考えているからです。
大出 孝博(おおで・たかひろ)

大出 孝博(おおで・たかひろ)

1978年北海道大学 工学部 電気工学科卒業。1978年日本無線(株)入社。1980年信州精機(株)〔現セイコーエプソン〕入社。1985年日本自動制御(株)〔現レーザーテック(株)〕入社。1991年米マサチューセッツ工科大学海洋工学科客員研究員 兼務。2002年大阪大学フロンティア研究機構ナノフォトニクスプロジェクト特任教授に就任。2003年ナノフォトン(株)設立,代表取締役に就任。2006年(株)フォブ(FOV)設立,代表取締役に就任。
1988年神奈川県工業技術開発大賞受賞(受賞対象:走査型カラーレーザー顕微鏡)。1998年神奈川県工業技術開発大賞受賞(受賞対象:広視野コンフォーカル顕微鏡)。2006年第18回中小企業優秀新技術・新製品賞中小企業庁長官賞(受賞対象:レーザーラマン顕微鏡)。

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