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小集団的発想こそ日本のオープンイノベーション宇都宮大学 オプティクス教育研究センター コーディネータ 小野 明

米国で博士号取得にチャレンジ

聞き手:少しご経歴に関してお話をうかがいたいのですが,大阪大学における修士論文はどのようなものだったのでしょうか?

小野:精密工学科に在籍していたのですが,流体の計測をやっていて,修論はレーザードップラー流速計の開発でした。当時,流体素子というものがあり,流体を使ってさまざまなものを制御をしようという考え方がありました。結局,それらはすべて電気に置き換わりましたが。わたし自身は素子開発にたずさわったわけではなく,そこで使う流速分布を求める研究をしていました。

聞き手:博士号を取られたのは1988年ですが,その前に東芝にご入社されているのですね。

小野:はい。東芝に留学制度があって,当時の研究所長が「お前も受けてみるか」と言ってくれたので軽い気持ちで受けたところ,最低点で通ってしまったのです。試験は英語だけだったのですが,いまだに英語に苦労しているのになぜか通ってしまいました(笑)。当時はホログラムにかかわっていたので,すでに谷田貝先生と親交があり,先生が「アリゾナ大学のJames C. Wyant教授に一筆書いてやる」と言ってくださり,それでWyant教授のところに行きました。
 留学の期間はたかだか1年半だったのですが,わたしの父も祖父も博士号を取得していたので,「わたしも挑戦してみるか」と考え,留学の間,一生懸命Wyant教授の下で研究しました。それを持ち帰って論文を書き,その論文を見ていただいたのが当時大阪大学の一岡芳樹先生でした。その結果,博士号を取ることができました。大学の先生では,谷田貝先生,一岡先生,Wyant教授の3人には足を向けて寝ることができませんね(笑)。

聞き手:留学されて,カルチャーショックなり,何か日本と違うとお感じになられたことはありましたか?

小野:特にありませんでしたね。それよりも,英語が通じなかったことが一番の苦痛でした。そうした経験を通じて声を大にして言いたいのは,日本の英語教育が間違っているということです。「日本の英語教育は読み書きばかり教えている」とよく聞きますが,そんなレベルの話ではありません。日本の英会話では,イエスやノーとしか言えないような会話ばかり教えています。それでは世界で勝っていけません。そうではなく,逆に欧米人にイエスと言わせる英会話を学ばねばならないと思います。相手が何か言ってこちらが分からなかった場合は,「じゃあ,こういうことですか?」と逆に問いかけて「イエス」と言わせる。さらに,そこに自分の主張を入れる。多少は英語の聞き取りが悪くても,文法がおかしくても構わない。相手に「イエス」と言わせる英語を植え付けるのが重要というのがわたしの持論です。

聞き手:確かに習ってきた英会話では,こちらが「イエス」や「ノー」と答えるような授業ばかり受けてきたような気がします。さらに日本人は「ノー」と言えないから「イエス」ばかり言ってしまう固定観念ができてしまうわけですね。

小野:わたしのわずかながらの自慢の種は,誰もが認めるつたない英語をアメリカの裁判所で通じさせたことです。アメリカで車を運転していた時にオルタネーターというヘッドライトに給電する部品が壊れてしまって,無灯で走っていたことがあります。運悪く警察につかまり,「無灯で走っていた」と責められたので事情を説明して納得してもらい,その場で帰ることができました。そうしたら,後から違反チケットが届いたので,「あの時,車が壊れたと説明して認めてくれたにもかかわらず,これはどうしたことか」と言って裁判所に訴えたわけです。裁判所ではちゃんと状況を理解してもらい,結局,帳消しになりました。

聞き手:アメリカ人は,こちらが英語がヘタでもちゃんと聞いてくれるところが確かにありますね。
小野 明(おの・あきら)

小野 明(おの・あきら)

1973年,大阪大学 大学院修士課程精密工学科卒業。同年,株式会社東芝に入社。生産技術研究所に配属。1983年,米アリゾナ大学客員研究員。1988年,大阪大学において工学博士号取得。1996年,東芝 生産技術センター光応用システムセンター長。1997年,技術士(機械部門)取得。1999年,株式会社東芝を定年退職し株式会社トプコンに入社。2000年,同社取締役兼執行役員。2003年,同社取締役兼株式会社トプコンテクノハウス代表取締役社長に就任。2006年,株式会社トプコン 常勤監査役,監査役会議長。2008年,株式会社トプコン顧問。2008年,宇都宮大学 オプティクス教育研究センター コーディネータ。現在に至る。

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