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地球上に存在するすべてのエネルギーの原点は水の光分解ではないでしょうか。東京工芸大学 本多 健一

科学における勘と感性

 これは,私の人生観と言ってもよいのですが,科学技術が進歩するには,地道な研究だけではなく研究者の“勘”も必要だと思います。
 ひと言では言いあらわせませんが,勘というものは生まれつきよい人,悪い人の差は確かにありますが,トレーニングによって磨くことができるのです。
 また,勘と同様に“感性”も非常に大切です。一部の科学者には,「科学の世界からは人の感性を排除する必要がある」という人もいますが,科学は冷たい理論の塊ではなく,ある時は芸術的でさえあります。
 例えば,雪の結晶は非常に美しく,芸術作品にも匹敵します。また,さまざまな物質の分子構造やタンパク質の構造などもミステリアスです。このように,自然界に存在する法則などに美しさや魅力を感じる人間の感性があったからこそ科学が進歩していったのではないでしょうか。
 これまで約50年間光電気化学の研究をしてきたわけですが,科学の道を進めば進むほど,謎といいますか解明すべきことがらが増えていきます。
 われわれが半世紀を費やして行った水の光分解の研究は,ここに来てようやく実用化研究への環境が整いつつあると感じています。その一方で,これから先解決すべき事柄の多さに,科学の世界の奥深さを感ぜずにはいられません。
 道は非常に険しいでしょうが,地球の将来のためにも,若い研究者の方々に是非ともわれわれの研究の跡を継いでいただき,水の光分解による水素エネルギーの実用化を実現していただくことが私の切なる願いなのです。(文責Y. F. )

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