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大きなブレイクスルーをしようとすればするほど,原点に戻って考えることが大切です。慶應義塾大学理工学部 慶應義塾大学フォトニクス・リサーチ・インスティテュート所長・教授 小池 康博

大学と企業の研究のあり方

聞き手:では最後に,先生はフォトニクスポリマー研究一筋でここまでこられたわけですが,大学における研究のあるべき姿をお伺いできればと思います。
小池:やはり,時代が複雑になればなるほど,基本に戻るということが重要だと思います。
 一時,「産学連携」としきりに言われ,産学連携していると大学の研究室に予算が下りてくるという時期もありました。
 私の経験から言わせてもらうと,30 ~ 40 歳代というのは,年齢的にファンダメンタル(基本・基礎的事項)な研究を最も深めることができるため,研究者として非常に重要な時期だと思うのです。しかし,そのようなときに産学連携のような意味合いの予算をもらってしまうと,2 ~ 3 年以内に成果が出るような研究をしがちになってしまいます。しかし,そのような研究で本当のイノベーションが起きるのかということです。
 私としては,大学はやはりファンダメンタルにこだわり,アカデミアとしての本質を極めることが必要だと思います。
 「どうなっているのだろう?」という真理を突きとめることが,大学のコアコンピタンスなのではないでしょうか。
 一方,企業というのは,そこからいかに大きな産業を生んでいくかだと思います。これは大学にはない,また別のコアコンピタンスになるわけです。それが今は,ともすると大学の研究が企業と同じになってしまい,ただの便利屋さんになってしまっています。やはり,お互いのコアコンピタンスを大事にして,お互いが尊敬し合い,理解し合ったもとでの産学連携というのが本来のあるべき姿だと思います。

聞き手:日本の科学技術の行く末が心配されている中,大学における基礎研究の充実というのは10 年,20 年後を見据えた重要な課題だと確かに思います。
本日はお忙しい中,興味深いお話をありがとうございました。

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