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ものづくりの才能は実践により培われる三鷹光器(株) 中村 義一

「ものづくり」は実践から生まれる

聞き手:どうしたらものづくりのエキスパートが育っていくのか,何かお考えがあれば,お願いします。

中村会長:学問はもちろん大切ですが,もっと大切なのは,手でものをつくること,実践することです。今の学校は,もの作りの設備があるにもかかわらず子供たちに触らせようとしない。先生の言い分としては,ケガをさせると,PTAにクビにされるからダメなんだそうです。そういうことでは,ものづくりができる子供は育ちません。触らせて,実践させ,いたずらをさせて,初めてものづくりの素質が養われるのです。親の道具をそっと持ち出して使うような子どもが増えてほしいですね。私は小さいときからものづくりが好きで,勉強はあまりやったことがないのです(笑)。学校の勉強だって,小学4年生までしかしていません。読み書きが得意じゃないから,営業に行ってもお客さん言われたことはその場で真剣に聞いて忘れずに帰ってくることが仕事になりました。これは半端じゃない。帰ってきて,下手でもいいから急いでデッサンをやって,こうしなくちゃ,ああしなくちゃと,それからまたゆっくり煮詰めていく。ただ話を聞いて,ノートにメモしただけでは発明はできません。

採用試験

中村会長:このまえ,ある学生さんが採用試験を受けに来たんですが,成績表を見たらみんな「5」なんですよ。でも,模型飛行機を作らせてみたら無残でね。今,うちの入社試験を受けに来る人は大勢いるけど,ほとんどこの試験で落ちてしまっているのです。

聞き手:模型飛行機というのは,竹ひごなどでつくるゴム動力のものですか?

中村会長:そうです。

聞き手:やはり作ったことがない子が多いのでしょうか。

中村会長:多いのです。塾に行って勉強して,筆記問題が受かればそれでいいと思っている。でも,そういう人ばかり入ったら会社はどうにもならない。勉強だけして,設備の整った会社に入ればいいと思っている人も多いし,実際そういう工場が多いのも事実です。そういう工場は,1台1億円する機械を入れてすべてロボットでやって,人間はただ材料をセットしているだけです。

聞き手:オペレーターという感じですね。

中村会長:そうです。操作するだけです。故障した時にはベテランの人が来てまたやってくれます。これだと日本はまったく駄目になってしまう。

聞き手:新しいものはなかなか出にくいですね。

中村会長:そうです。だから大手さんはすごくいいものは作っていないでしょう?
 今,真のものづくりをする人がどんどん減っています。わずかなものをつくった者を,よってたかって食いものにしている人が非常に多い。
 われわれがものづくりをやめてしまえば,そういう人たちは「さて,どうしよう」と,初めてことの重大さが分かると思いますよ。 (おわり)

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