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窒化ガリウムを選んだのはやけくそでしたカリフォルニア大学 サンタバーバラ校 中村 修二

GaNは優れた材料

 GaNというのは非常に丈夫な材料でして,信頼性が非常に高いのです。そのぶん成膜温度が高くて,作るのは難しかったのです。一度できてしまえば,これに勝る材料はないですね。
 ですから,従来の半導体レーザーはもう消えるんじゃないですか。LEDも緑,青,紫外は全部GaNを使ったものになるでしょう。従来の化合物半導体は赤でしか生き残れない。レーザーも消えるでしょう。  この分野の人はみんなそう思ってますよ。電子デバイスからも消えるのじゃないでしょうか。
 光通信に使うような波長1.3mmとか1.5mmとかいった長波長のレーザーは,いまのところ難しいのですが,カスケード・レーザーにすれば理論上は可能です。難しいけど,できるかも知れない。
 それから,GaNは信頼性が高くて非常に丈夫なので,高出力化に向いているのです。高出力の半導体レーザーは全部GaNになると思います。
 ま,自分がやってるからそう言いたいのかも知れませんが,それを差し引いても…,材料の信頼性が全然違うのです。
 白色のLEDもできていますしね。青色LEDと蛍光体を組み合わせたものとか,3色組み合わせたものとか。
 将来のLEDの市場ですが,照明用光源でいうと,あと数年で蛍光灯並みの効率が出るでしょう。技術的にはもう見えています。置き換わるのはそれより先ですが。
 LEDは切れないですからね。家を新築するときにLED照明を付けたら,家を壊すまでもちますよ。いま交通信号に使っているのですが,1994年から使われ始めて,まだ1つも切れていません。環境的に厳しい屋外でそれですからね。一番最初のは少し不良はありましたけど。従来の信号機は年に1回交換しなくてはいけません。
 それからディスプレイですね。すでに大型のディスプレイは全部LEDになっていますが。
 今,プラズマディスプレイのサイズでLEDディスプレイの試作品があるのですが,めちゃくちゃきれいです。LEDは波長幅が狭くて赤・緑・青の色純度が高いですから,色再現範囲が非常に広いものができるのです。プラズマディスプレイは蛍光体を光らせていますから,色純度が低いのです。もう全然違いますね。
 それからあと,液晶のバックライトですね。最近,携帯電話の液晶がカラーになっているでしょう。あれは白色のLEDを使っています。
 半導体レーザーの用途は,もちろんDVDのピックアップがありますが,ほかには,例えばレーザープリンター用の光源がありますね。私たちが使うようなプリンターじゃなくて,印刷工場で使うようなプリンターです。青色を使って,もう製品になっています。

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