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研究は面白いから続けられる。(前編)Marine Biological Laboratory  井上 信也

三崎臨海実験所

聞き手:先生は終戦後どのようにされたのですか。

井上:終戦後は團さんから三崎臨海実験所(図1)に来ないかと言われ,三崎臨海実験所に移りました。この三崎臨海実験所に関しては終戦時に有名なエピソードがあります。

図1 当時の三崎臨海実験所 聞き手:それはいったいどのようエピソードなのですか?

井上:この三崎臨実験所は東大附属の研究所なのですが,戦時中は海軍に接収され,特攻用の特殊潜航艇の基地として使用されていました。このため,終戦直後に占領軍に接収されることとなるのです。 図2 三崎臨海実験所に残された置き手紙  それを聞いた團さんは実験所の破壊を防ぐために,接収にくる米軍宛に置き手紙を残していったのです。その手紙の内容は,「この施設はもともと大学の科学実験施設で,軍事目的のものではないから破壊しないでほしい」という内容で,最後に“The last one to go(最後に立ち去る者)”とだけ署名されていました(図2)。その團さんの熱意が通じたのでしょう,三崎臨海実験所は破壊されることなく,その年の大晦日に大学に返還されたのです。
 この話は「タイム誌」にも掲載され,その手紙は現在,アメリカ マサチューセッツ州のウッズホールにある海洋生物学研究所(Marine Biological Laboratory:MBL)に展示されています。

聞き手:非常に興味深いエピソードですね。

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