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研究を登山にたとえたならば,山の裏側には別のもっと楽なルートがあるかもしれません。東北大学 名誉教授 山本 正樹

3Dエリプソメトリー

聞き手:先生は3Dエリプソメトリーを使った計測の研究もされているということをお聞きしたのですが,3Dエリプソメトリーとはどのようなものなのでしょうか?

山本:偏光反射は,通常では,例えば表面に薄膜が付いていたりすると,その厚さや光学的な性質を精密に測ることに使われています。ここでやっていることは,ある決まった偏光状態の光を入れて,反射した光の偏光状態の変化を測っています。実は,この反射光には,測定物に光が当たったときにどのような角度で反射されたのかという情報も含まれています。
 例えば,スキーやマリンスポーツなどで使われる偏光サングラスというものがあります。雪の積もったゲレンデをこのサングラスを掛けて見ると,ゲレンデの凹凸がよく見えますがそれと同じ原理です。
 もともと反射する光は偏りを持っていますので,そういう性質を利用すると,逆にどのくらいの角度で,どういう向きの面で反射してきたかということが分かるのです。ですから,そこから逆算してやれば表面の形状が分かるのです。

聞き手:なるほど。しかしそれには偏光された反射光から角度を読み取る装置が必要となりますが,それにはどのようなものを使っているのですか?

研究を登山にたとえたならば,山の裏側には別のもっと楽なルートがあるかもしれません。 山本:実は,今や世の中には偏光状態も測れる結像素子があります。東北大学の電気通信研究所の所長をしていらっしゃった川上彰二郎先生が始められた「フォトニックラティス」という会社があります。この会社の技術を使えば, CCDの前に偏光素子を非常に小さくピクセルごとに変えた形で付けることができますので,このCCDを使えば画像各部の偏光状態を読み出すことができるのです。

聞き手:そういう素子が今はあるのですか。
 ところで,この研究はいつごろからスタートされたのですか?

山本:2年前ぐらいです。

聞き手:では非常に新しいテーマですね。

山本:そうです。現在は原理の検証が終わり,論文発表を行いましたが,国内を優先したかったため国内発表しかしていません。海外には,ある程度形になってから発表しようと思っています。

聞き手:偏光グラスは掛けたりしますが,このような応用があるというお話を聞き,非常に面白いと思いました。これが完成すれば,いろいろな用途に使えますね。

山本:新しいさまざまな用途があると思います。
 研究室でこの研究を引き継いでやっているのは,助教の津留俊英君ですが,研究を発展させるためには,いろいろな所と連携してやっていくことが必要だと思います。ですから,企業の方もぜひコンタクトしていただいて研究が進んでいけばと思い ます。

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