難病「アミロイドーシス」に“光”を東京大学 ,熊本大学,筑波大学,京都大学,和歌山県立医科大学,杉村病院,富山大学

     東京大学などのグループは、難病「トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)」に対し、新たな治療戦略を打ち出した。
     タンパク質の誤った折りたたみ(ミスフォールディング)とそれによる凝集は、加齢にともない起こるタンパク質異常の代表的な現象である。特に、それらが不溶性の線維状構造となったものはアミロイドと呼ばれ、高い毒性を有する。アミロイドは体内で分解されにくく、組織や臓器に沈着することで様々な病気を引き起こす原因でもある。中でも、ATTRアミロイドーシスは80歳以上の高齢者の約4人に1人に影響を及ぼすとも言われる難治性疾患だが、現在の治療法の多くは「進行を止める」ことが中心で、一度蓄積したアミロイドの毒性を“消す”方法はなかった。そのため、一度発症すると根本的な治療が難しかった。
     今回、研究チームはこの難題に対し“光”と“触媒”を使った独自のアプローチで、アミロイドそのものを無毒化するという革新的な戦略で挑んだ。小さな分子ながら、アミロイド特有の構造に対し選択的に結合、光により活性化され、空気中の酸素からアミロイドに対して親水性の酸素原子を化学反応により導入(光酸素化)できる触媒を開発、アミロイドを無毒化した。またこの触媒は、世界唯一の本疾患モデル動物である線虫の体内でも機能し、初めて治療効果を得ることに成功した。本研究は「触媒医療(Catalysis Medicine)」という新しい疾患治療概念――すなわち化学触媒を通じて生体内の化学反応ネットワークに能動的に介入した具体的な実証例でもある。将来、アルツハイマー病やパーキンソン病など、他のアミロイド関連疾患への応用も期待される。

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