AIによる関節X線画像の複雑な骨層分離に成功北海道大学,東京科学大学
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北海道大学などのグループは、AIによる関節X線画像の複雑な骨層分離技術の研究開発に初めて成功しました。従来のX線撮影は、骨軟部(MSK)疾患の診断や経過観察、予後評価に広く活用されたが、関節のX線画像では骨陰影が重なって映り、画像診断医や診断支援アルゴリズムによる正確な骨の評価を妨げる要因であった。今回、課題解決のため開発した「骨層分離(Bone Layer Separation)」は、関節X線画像内の重なった骨領域を分離し、それぞれの骨層を独立して評価できるようにする。これにより、MSK疾患の診断精度向上や診断の自動化が期待される。
今回、この骨層分離技術を実現するため、AIフレームワーク「Bone Layer Separation GAN(BLS-GAN)」を開発した。加えて、従来のX線撮影の原理を応用したリコンストラクターを導入し、効率的な画像再構成を実現した。これにより、骨陰影が重なった領域に存在する軟部組織の影響を抑え、計算の不安定性を軽減した。また、AI学習の安定化のため、合成画像を用いた事前学習を行った。生成された骨層画像は視覚的チューリングテスト(Visual Turing Test)を通過、AIによるX線画像生成精度向上への寄与も確認された。これにより、関節リウマチなどの関節疾患の診断・モニタリング・予後評価における、より詳細な分析が可能となった。