光が流れるナノチェーンを開発し機構も解明東北大学,東京理科大学,京都大学,科学技術振興機構,帝京科学大学,分子科学研究所
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デバイスの超小型化が進む現在、効率的な光輸送を実現するナノスケールの分子光導波路の開発と、その光伝達ダイナミクスの解明が求められる。分子材料内での詳細な励起子挙動を分析するため、励起子が停留する各色素サイトの配向・配列・距離が規定される分子設計が求められる。しかし従来の研究では、これらの条件を満たす分子鎖の開発は達成されていなかった。
東北大学などのグループは、鎖長や内部構造が一義に規定された金属錯体分子鎖(ナノチェーン)を系統的に合成・単離することに成功した。その構造的特色を生かし、ナノチェーンからの発光現象を理論的に再現するという独自の戦略を取ることで、これまで定量が困難であった最近接サイト間での励起子の移動速度を見積もることに初めて成功した。本研究は超短波レーザーを用いずに超高速光現象を理解するための新たな解析手法として期待される。