高速でリアルタイムな光量子もつれ生成東京大学,日本電信電話(NTT),理化学研究所,科学技術振興機構
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東京大学などのグループは、世界最速の光量子もつれの生成・観測に成功した。
2つ以上の量子ビット間の特殊な相関を持つ量子力学特有の現象である量子もつれは、量子計算、量子通信、誤り訂正など多岐にわたる量子技術の根源となるリソースとなる。実用的な量子もつれの評価には、その純度に加えて量子もつれの生成速度(生成レートや帯域)が重要なパラメーターである。従来の光量子もつれの生成速度はkHz~MHzオーダー(時間換算で数十μsec~数十nsecオーダー)であった。この生成速度は、実用上では量子コンピューターのクロック周波数を制限してしまい、従来の生成速度では現状の古典コンピューターのクロック周波数(GHz)よりも遅い量子コンピューターしか実現できなかった。
今回、共同開発した光パラメトリック増幅器(OPA)を用い、60GHzという世界最高速度の光量子もつれの生成およびリアルタイムな測定を実現。リアルタイム測定は量子計算や量子通信などリアルタイムな情報処理を伴う量子技術には不可欠で、今回,従来の1000倍以上高速な光量子もつれ状態のリアルタイム量子測定を実現した。この生成速度は、他の物理系を用いた量子システムや、従来の古典コンピューターをも凌駕する。本研究により、全ての量子技術の根源である量子もつれが、高速かつ量子情報処理に完全に応用可能な形式で利用可能となった。本研究は、次世代の超高速光量子技術の基盤技術として、多岐にわたる応用が期待される。