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第15回 台湾交流録 part 1 初めての訪問

なんという様変わり!

 かつて,円山大飯店の周辺は緑が多く,川を挟んで反対側は何もない場所であった。ところが,2度目の訪問の時には,そこになんとモダンな台北市立美術館(図7,図8)が出現していた。ちょうど書の展示と現代アートの展覧会が開催されていたので,早速皆で出かけるためアクセス方法をさがしたら,美術館の近くにはなんとMRT(台北市地下鉄)の駅があるではないか! かつてはバスとタクシーしかなかった公共交通手段に加えてMRTが開通し,この美術館や円山大飯店の近くに円山駅が建設されていたのだった。外国からのビジターたちでも,市の中心から楽にいろいろな施設に出かけることができ,実に便利になっていた。整備された公園の中に建つ美術館の内部はゆったりとした空間で,何部屋もある広い展示スペースにミュージアムショップも兼ね備えた,素晴らしい施設であった。調べたところでは,この施設は最初の訪問の2年後の1983年に,現代美術展のために建てられた台湾で最初の美術館なのだそうである。なんという変化であろうか? 大変な変貌ぶりに驚くばかりだった。
 台湾を訪れて絶対外せないのが,故宮博物院の見学である。前回初めて連れて行ってもらったときは,膨大なコレクションの中から,観光客用に代表的な展示品を駆け足で案内された。中でも最も有名な展示品はヒスイの彫刻「白菜」や肉形石(豚の角煮にそっくり,石でできている),そして,小さく精巧な彫刻の数々だった。あまりに小さく精緻な展示品は虫眼鏡を併設して展示されているほどだ。2度目は私が案内役となりこれらを見学した。書の展示も忘れてはいない。四千年の文字文化を網羅して眺めるとなかなか面白い。その後も台北を訪れるたびに,ここには必ず足を運ぶのだが,何度通っても,いつも展示品の一部しか見られなかったと思うのである。とにかく膨大な収蔵があることに感嘆するばかりだ。
 ところで,最近(2015年),台湾中部の都市 嘉義に,この故宮博物院の分院として故宮博物院南部院区がオープンした。磁器,テキスタイル,書物などに特化して,博物院の機能の分散化を図るのを目的としているという。確かに収蔵品は収蔵庫に眠っているよりも,広く人々に公開展示される方が望ましい。昨年(2019年),この南院を訪れる機会があった。テーマパークのような公園の中に建つコンテンポラリーな建物(図9)が実に印象的だった。台北の宮殿様式の故宮博物院の分院とは想像もつかないものだった。展示スペースに入ると,新しいメディアをふんだんに使い未来志向の展示様式にも驚かされた。

夜型人間バンザイ


 夜市は面白い。日本のお祭り屋台とは比べ物にならない充実ぶりは感動ものである。お祭り屋台は,どちらかと言えば子供の専売特許のようなものだが,台湾ではちがう。正統派の料理も,ジャンクフードもなんでもござれ。食べ物だけでなく衣料品や雑貨までそろう夜市である。その規模は場所によってまちまちだ。毎日開くところもあれば,決まった曜日のみのところもある。市は夕方からオープンし,真夜中まで開いている。この場所は観光客だけでなく,住人達の胃袋も満たしているようである。味もボリュームも値段も大満足だし,どんな食べ方も自由だ。立っていようが歩きながらであろうがおかまいなし。うるさい行儀作法を気にする必要もない。1年中がお祭りのにぎわいで,夜遅くまで人々でにぎわっている。
 「早寝早起きは良いことだ」,「早起きは3文の得」云々,夜更かしを戒める言葉が多く残る我が国だが,文化が異なると,なんと心の解放感をエンジョイできることか。ところで,このにぎわいも,昼では様相が異なり,夜だからこそなのかもしれない。ちょうどムシたちが夜の明かりに吸い寄せられるように集まってくる現象は良く知られるところだが,人間の心も然り。夜のとばりの中で,明るくにぎやかなところについ集まるのも,その例にもれないようだ。1年中がお祭りのにぎわいで,夜遅くまで人々でにぎわっている。夜型人間にはなんと居心地が良い環境であろう。ついでに一言書き加えれば,治安がよいことである。これは旅の魅力の大事な要素である。今まで10回以上も訪れた台湾であるが,機会があればまた訪れたいと思わせてくれる国だ。
(part2に続く)

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