第12回 太陽の贈り物シリーズ part 1 ―野外インスタレーション―
新たな展開―昼間のネオン―
野外作品のおもしろさに目覚めた私は,同年(1997年),お台場の埋め立て地を会場とした野外展に参加した。船の科学館からテレコムセンター駅を通り青海駅手前までの,「コ」の字を描いてゆりかもめ線が走る原っぱ一体,まだ科学未来館も何も建物がない,広大な土地が会場であった。パルテノン多摩の展覧会が終わった後だったので,同じ素材を,今度は地上の草むらに直径50 mの円を描くように設置した(図2)。吹きさらしの風にオブジェが飛ばされないように,地中に打ち込んだアンカーでオブジェを固定した。それでも,夜間には強い突風に見舞われ,会期中はずっとアンカーの修復が必要であった。野外作品の厳しい条件をいろいろ学んだ。
ところで,“昼間のネオン”という表現は,この時の作品から生まれた言葉である。国際クルーズターミナル(船の科学館)駅あたりから展覧会の会場となる原っぱ一体が見えてくる。しかし,ゆりかもめから個々の作品を判別するのは,距離的になかなか容易ではない。ところが,そのゆりかもめの車窓から,いくつもの鮮やかな光の線(棒)が草むらの中で輝き,大きな円を描いている様子が目に飛び込んできたではないか。距離にして,およそ500 mはあると思われる。コの字を描いて会場を囲むように2駅半走る車窓から,鮮やかな光のオブジェがずっと見えていた。これを評して,展覧会を見に来たある作家が,“まるで昼間のネオンみたいだ”と私に言ったのである。
(a)ゆりかもめ青海駅を背景に | (b)フジテレビを背景に | (c)コスモス畑の隣に |
図2 1997「野外展トラッシュライブ’97」」お台場埋め立て地
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