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第10回 旅するホログラム part 2

洗濯と天日干し


 シェラトンウォーカーヒルアートセンターはソウル郊外の五つ星ホテル,シェラトンウォーカーヒルホテルに併設された施設で,広い会場は見ごたえのある企画展が毎回開催されていた。現在はグランドウォーカーヒルと名を変えているようだが,ここで,1987年の夏,私の個展が開催された(図3はその個展のカタログ)。ちょうど夏休みで,パリから東京に帰国していた時である。
 まず材料を調達するからと連れていかれたのは,なんと砕石場であった。小石は袋詰めされているのを想像していたら,サイズや色別に分別され,砂利がただ山積みになっている場所であった。そこから好きなものを選べという。色やサイズは適当に選び,ボリュームは目分量でシャベルカーで適当にトラックに積んでもらった。泥混じりが不安であったが,選択の余地なし。何とか材料だけは入手できた。1週間の設営作業中,他の作品の設営が終わるころになっても,なかなか小石が会場に届かない。何度も問いただすが,返事はいつも「今,準備中」。小石に一体何を準備しているというのか? それでも私がしつこく聞くと,とうとう私をホテルのバックヤードに連れていってくれた。そこで目にしたのは,真夏の炎天下,5~6人の人たちが,手作業で,例の砂利をふるいにかけて大きさを整え,次に水で泥などの汚れをきれいに洗い,そして,地面に広げたシートの上で天日で乾かすという一連の作業を延々と続けていたのである。すでに数日が費やされ,まだ完了していなかったのだ。こんな作業をしてくれていたのかと,ありがたい思いで頭が下がった。おかげで,展覧会では美しい真っ白な小石のインスタレーションを展示することができた。
 会場はソウルの中心地から少し郊外に位置し,街からの観客には地の利が良いとは言い難い。しかし,1か月の展示期間の後半になるにつれて,入場者が増えていったと聞く。ホログラフィーアートがまだほとんど一般に認知されてない時期であったが,会期が進むにつれて,街からの若者の観客が少しずつ増えてきたらしい。主催者は会期の延長を望んだが,会場が次の企画で詰まっていて予定通りの会期終了となり,少し残念であったが,手ごたえも感じられた展覧会であった。

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