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第5回 ベネチアの個展

つなわたり


 飛行機はロンドン到着が予定より遅れ,乗り継ぎが危うい状態になっていた。乗れなかったらどうなるのだろうなどと機内で気をもんでいると,私の名前がよばれていることに気づいた。クルーに名乗り出ると乗り継ぎ時間は30分しかなく,到着後はクルーに誘導されて大急ぎで専用の特別ゲートを通過し,ぎりぎりでシカゴ行き便に飛び乗った。行き先がボストンでない訳は,シカゴ郊外のレイクフォーレストカレッジで開催されるディスプレイホログラフィのシンポジウムに参加するためである。無事にシカゴ・オヘア空港に着いたまではよかったが,荷受け用コンベアー前で待てど暮らせどスーツケースが出てこない。そういえば駆け足で乗継便に間に合ったのだから,荷物が一緒に届くわけがないと悟った。クレームカウンターで,荷物は翌日の便で着くから届け先の住所はどこかと聞かれ,はたと困った。宿泊先の正確な住所がわからない。しかたなく大学名と代表の住所だけを教え,心細く手荷物だけを持って大学に向かった。このシンポジウムは,初めての参加で右も左もわからない。やっとたどり着き受付を終えて,大学の秘書さんにかくかくしかじかと説明し,空港と連絡をとってくれるようなんとか頼みこんだ。着の身着のまま,翌日はシンポジウム初日を迎えた。1日遅れで翌日の夜遅くスーツケースは無事手元に帰ってきた。イタリアのお土産も行方不明にならずホッと胸をなでおろす。初めて(第1回)のISDH(International Symposium on Display Holography)で, 荷物が一緒に着かなかった,これも初めての経験をした。預けた荷物が同一便で着かないという事態は,かなり頻繁に発生しているらしいことを後で知った。その後,一度ならずも経験し,大切なものは必ず手荷物で一緒に持ち運ぶこと,乗り継ぎには十分な時間をとってフライトを選ぶことを肝に銘じて旅をするようになった。
 1982年スタートしたISDHは3年に1回開催され,このシンポジウムを立ち上げたレイクフォーレストカレッジのトン・ジョン教授が退職した後は,開催地を毎回,世界各地に変えて現在に至っている。前回2015年はサンクトペテルブルク,そして今年の6月,第11回目はポルトガルのアベイロ大学で開催され,私も出かけてきた。ISDHについては,今後の本連載にあらためて触れたいと思う。

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