画像センシングの最前線

社会の安全安心を支える画像認識技術NECデータサイエンス研究所 佐藤 敦

期待が高まる都市の安全安心のための監視ソリューション

 社会の安全安心を脅かす要因は,犯罪,事故,テロ,災害,戦争,サイバー空間,健康,食品,生活上の問題,経済問題,政治,行政,環境,エネルギーといったように非常に多岐に亘っています。特にこれから話をする映像監視の領域では,犯罪,事故,テロ,交通,災害などをどう監視するかが重要になります。
 2050年には,世界の人口が90億人を超えると予想されています。人が増えると,水,食料,資源をどう分配するかが問題になります。また,社会不安の増大や,都市の人口増加による治安の悪化や交通渋滞・大気汚染なども懸念されます。このような問題を解決するうえで,事前に危険を察知し迅速に対応するために,ICTの利用が期待されています。
 映像監視市場は,2017年で130億ドルになると予想されています。各国で増大するテロへの対策として,北米を中心に大きな市場が広がっています。新興国でもインフラの発展に伴い安全安心を求めるニーズが高まっており,年率20%の伸びが期待されています。
 中でも,都市への人口集中に伴い,都市の主要インフラの安全安心を実現するニーズは高いものがあります。都市の安全安心のための監視ソリューションには,交通システムの管理をはじめ,サイバーセキュリティー,人物の行動監視,プラントの監視などが挙げられます。基本的には警察等関係行政機関が事故に対処することになりますが,人的リソースは限られており,人の目に代わる画像認識技術に大きな期待が寄せられています。画像認識技術とは,実世界で起こっている事象を画像として捉え,そこから有益な情報を抽出・分析することで,安全安心,快適性などを実現するものです。しかし,認識精度を100%にするのは極めて困難なため,誤りの発生を前提とした運用,つまり人の介入が実運用では重要になります。

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NECデータサイエンス研究所 佐藤 敦

1989年東北大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士。同年NECに入社,パターン認識,機械学習の研究開発に従事。郵便区分機向け文字認識や顔認証エンジンNeoFaceの開発にも携わる。1994~1995年米国ワシントン大学客員研究員,2008年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員。2014年度全国発明表彰発明賞,2012年度電子情報通信学会業績賞,2012年度関東地方発明賞神奈川県知事賞,2011年度先端技術大賞「フジサンケイビジネスアイ賞」,2010年度情報処理学会喜安記念業績賞,2009年度人工知能学会現場イノベーション賞銀賞受賞。

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