セミナーレポート

先進モビリティにおけるバス・トラックの自動運転技術開発について先進モビリティ(株) 代表取締役 青木 啓二

本記事は、国際画像機器展2017にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

トラック自動隊列走行技術の紹介

 物流業界は深刻なドライバー不足が懸念されており,トラックの隊列による自動走行システムを活用することで,ドライバー不足の解決が期待されています。システムでは,先頭車両をドライバーが運転し,後続のトラックを電子的に連結して隊列を形成して自動走行を実現します。
 そのためのキーポイントは3つあります。1つ目は,短車間距離のCACC(協調型車間距離維持支援システム)制御です。ここでは,隊列内への一般車の割り込みを防止するために車間距離を時速70 kmで10 m以下にするという制御が必要になります。そのための技術が,760 MHzの無線通信やC-V2Xという新たな通信および光車車間通信を利用した車間距離制御です。
 2つ目は,車線維持制御です。現在のハンドル制御ではカメラで白線を捉えるものがほとんどですが,隊列走行ではこれに加えて,先行車トラッキング制御を行い,前の車と横の偏差量を検知し,前の車についていきます。このため,白線を捉えるカメラ以外に,先行車のトラッキングのための3DLiDERや,準天頂衛星を利用し,24時間365日,様々な自然環境下で使えるハンドル制御の自動化を実現します。
 3つ目は,後続車の周辺監視です。自動隊列走行の場合,すべての運転は先頭車が行います。先頭車の前に障害物があった場合,ドライバーが判断し,車線変更を行います。その際には前の安全だけでなく,隊列後方の安全を確認する必要があります。隊列長は3台で50 mになりますが,さらに後ろの100 mまで確認できなくてはなりません。そのために,後走車の画像伝送が必要になります。後方のカメラ像を先頭に無線で送り,ドライバーがそれをモニタリングし安全を確認するという,ミラーレスによる先頭車ドライバー支援です。スペックとしては,フルハイビジョン映像を10G bpsで画像伝送し,100 msの遅延で先頭車両のモニターに映すことが求められます。この3点セットの技術で,公道での後続車無人の実現に取り組んでいます。

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先進モビリティ(株) 代表取締役 青木 啓二

1971年トヨタ自動車入社。同社研究部にて米国運輸省の「I-15 自動運転PJ」用の自動運転車の開発を担当後,同社IT・ITS企画部にて「愛・地球博」用自動運転バス「トヨタIMTS」の開発を担当。2008年,日本自動車研究所に出向すると伴に,NEDO「エネルギー ITS推進事業」の自動運転・隊列走行技術の開発を担当。2014年,先進モビリティ㈱代表取締役に就任。

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