セミナーレポート

高性能UAVを用いたインフラ点検支援システム(株)デンソー 技術開発センター Robotics開発室 加藤 直也

本記事は、国際画像機器展2016にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

ひび割れ自動抽出ソフトを現在開発中

 ドローンによるインフラ点検システムを使うことで,補修後のひび割れ,石灰の流出,叩き落としなど補修点検の様子などを確認できます。また,排水パイプのひび割れなども見つけることができます。橋のサイドも確認できるので,サイドの水漏れや下方での欠損。橋と橋脚をつなぎ,橋の重さを支えている支承も鮮明に確認でき,損傷を見つけることができます。
 デンソーでは,ひび割れを自動的に抽出するDACS(Denso Analysis Crack Scan)というひび割れ自動抽出ソフトを現在開発しているところです。このソフトでは,画像の中からひび割れと思われる候補をすべてピックアップし,そこからフィルターをかけていき,ひびを抽出します。ほぼひびに関しては抽出できていますが,若干見逃しや誤検出があり,フィルターロジックを見直すことで実用化を目指せるということで改良に取り組んでいるところです。建設技術研究所の協力を得て,愛知県犬山市で一連の流れの実証実験も行いました。
 今日はひび割れの検出を中心に紹介してきましたが,現在点検の中ではひび割れを見つけるのが一番苦労しているからです。しかし,実際の橋梁にはいろいろな損傷があります。亀裂,欠損,塗装劣化,凹凸,減厚,ボルトゆるみ,ずれ,隙間がない,段差があるなど,様々です。これらの損傷をすべてデジタル化していこうとチャレンジしているところです。
 水が漏れているようなところは赤外温度計を用いれば解析ができます。赤外線撮影や超音波など,いろいろなセンサーのデータを組み合わせ,損傷が何かを突き止めていこうと考えています。一番難しいと言われているひび割れについてはほぼできかかってきました。今後は他の損傷の発見,そしてそのダメージの判断のためにフィルターやディープラーニングも付加,損傷の度合いをランク付けできるところまで持っていき,過去との差分などもわかるようにして,補修に対して様々な提案ができるようにしていきたいと思っています。

(株)デンソー 技術開発センター Robotics開発室 加藤 直也

慶應義塾大学理工学部卒業。1984年デンソー入社後 エンジン系製品設計。エンジンシステム研究開発技術企画を経て2014年からロボットシステム開発に従事。

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