セミナーレポート

完全自動運転システムのオープンプラットフォーム化に向けて東京大学大学院情報理工学系研究科 他 加藤 真平

本記事は、画像センシング2016にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

3次元レーザースキャナーと高精度3次元地図データで自車位置を推定

 今自動運転の市場には自動車メーカーだけでなく,グーグルなどのITベンダーも参入しており,市場の拡大が予想されています。しかし,明日から自動運転の研究をしたいと思っても,使えるシステムがないというのが現状です。我々の取り組みは,自動運転のための一通りのシステムを揃え,すぐにでも研究が始められるというプラットフォームをオープン化して提供するということにあります。
 自動運転には,認知・判断・操作という3つの機能が必要になります。認知ということでは,自動運転では位置を認識するということが重要になります。我々は,測量車で実世界の情報をデータとして取り込み,高精度3次元地図として埋め込んでいます。そして,それに,周りの状況をリアルタイムにスキャンする3次元レーザースキャナーを組み合わせ,自車位置の推定を行っています。その誤差は悪くても20センチの範囲に収まっています。
 また,地図作りでは実験をするたびに測量車を使うということができませんので,自分たちで地図を作る機能もソフトウェアにつけています。
 画像処理や自動運転の機能をノートパソコンやマイコンで処理しようとしても,計算量が多いのでリアルタイムでは処理できません。コンピューターサイエンスの観点からすると,そういうところはGPUやFPGAをうまく利用すればいいのではないかと思っています。実際にやってみると,10倍くらい早くなります。ノートパソコンで処理に1秒くらいかかってしまうと,検出はできてもすでにそこに人がいないということになってしまいます。それが100ミリ秒で終わればまだそこに人がいるので,検出の結果と実際に今の状況がマッチングされます。我々はパターン認識に基づいた計算量の多いアルゴリズムを使っているため,GPUやFPGAという特殊なデバイスを使う必要があるのです。最近の物体検出に使われるディープラーニングなどのニューラルネットワークでは,こうした効果はさらに高くなります。

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東京大学大学院情報理工学系研究科准教授 名古屋大学未来社会創造機構客員准教授 株式会社ティアフォー 取締役 加藤 真平

2004年慶應義塾大学理工学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。2009年から2011年までカーネギーメロン大学,2011年から2012年までカリフォルニア大学にて客員研究員,2012年から2016年まで名古屋大学大学院情報科学研究科の准教授。現在,名古屋大学大学院 情報科学研究科の准教授としてオペレーティングシステムや並列分散システム,サイバーフィジカルシステム等の研究に従事。

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