セミナーレポート

医用画像処理を始める前に知っておきたいこと ~画像化の原理から実際の検査方法まで~広島大学 檜垣 徹

本記事は、画像センシング展2014にて開催されたセミナーを記事化したものになります。

画像の持つ意味を知った上で医用画像処理を

 医用画像処理をされる際には,どのようなパラメータで撮影されたのか,どのような目的で生成されたのかを把握しておいてください。画像に詳しくない医師もいますので,ご自身で画像の持つ意味を知った上で適切な判断ができるようにしていただければと思います。
 最初に,CT(Computed Tomography)の画像化の原理と併せて,CT画像の画質を決定する様々なパラメータを紹介します。CTは電離放射線を利用して対象の放射線透過性を計測し画像化するモダリティ(診断装置)です。レントゲンと同じコントラストが得られますが,決定的に違うのはCTの場合は周囲360度の投影データを収集し再構成することで断層像を得ることができる点です。
 CTは,対向したX線源とX線検出器のペアが回転します。最速で1回転0.275秒,毎秒3000サンプル程度の投影データが得られます。X線を発生させるX線源はX線管球と呼ばれ,構造は真空管そのものです。カソードのフィラメントに流す電流でX線強度を制御します。電流が大きいほど強いX線が発生し,画像のS/Nが向上しますが,被ばくも増加するというトレードオフとなっています。また,加速電圧でX線の線質を制御でき,電圧が高いほど高エネルギー(短波長)のX線が発生します。
 電流はカメラのフラッシュの強さに相当し,フィラメントに流す電流の量と露光時間をかけたmAsが,最終的な曝射量の基準として用いられます。CTの露光時間(回転速度)は,1回転分の投影データを収集するのに必要な時間です。最速は0.275秒です。回転が速い(露光が短い)と,対象が動いてもブレが生じにくく,心臓の撮影などに適しています。また,回転が遅い(露光が長い)と,1回転あたりのサンプル数が増やせるため画質が良くなり,頭部の撮影などに向いています。
 電圧を変えると,X線のエネルギーが変わります。X線のエネルギーは,物質の吸収されやすさに影響します。低エネルギー(低管電圧)ほど吸収されやすくなります。臨床では管球電圧は120kVが一般的です。
 検出器が1回転した時に同時に何枚の絵が撮れるかを決定するのが列数です。列数が多いCTほどハイエンドのCTという指標として用いられています。CTが最初に製品化されたときは検出器の列は1列でしたが,それが4列になり,今は320列のCTまで存在します。320列のCTでは一度に16センチの幅が撮影可能です。頭や心臓なら一度に撮れますが,全身を撮るためにはカバレッジが足りません。そこで行われているのが,らせん状にスキャンするヘリカルスキャンです。再構成アルゴリズムは煩雑になりますが,現在臨床のほとんどのスキャンがヘリカルで行われています。

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広島大学 檜垣 徹

2011年広島大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学) 2008年より1年間,Harvard Medical School/Brigham and Women’s Hospitalにて研究員。2009年より日本学術振興会特別研究員(DC2)。 2011年より広島大学大学院医歯薬保健学研究院特任助教,現在に至る。 放射線診断学研究室にて,医工連携の推進,臨床に即した医用画像処理の研究に従事。

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