セミナーレポート

“ヒトを超える”基本性能と“ヒトを超える”多様な対応で進む実用化(株)日立ハイテクノロジーズ 野口 稔

本記事は、画像センシング展2012にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

信頼性のよりどころの検査は画像センシング技術がカギ

 3つ目が欠陥分類です。欠陥レビューでは,暗視野欠陥検査装置と明視野欠陥検査装置から欠陥座標データをサンプリングし,レビュー装置でキラー欠陥(DOI)を抽出します。そこでは効率的,効果的なサンプリングプランがポイントで,レビュー結果にもとづいて,統計的に精度が保証され,欠陥種類別の比率が推定できます。もうひとつのやり方として,欠陥分布にもとづく原因分類があります。これは欠陥がある一定の形をしているのは同じ理由ではないかと考え,画像処理で密集形態から現象を推定し,欠陥を分類し,原因を推定するものです。

図2 画像応用システムの実用化の決め手

 4つ目が寸法計測です。従来,リソグラフィは短波長化で微細化を実現してきましたが,マスク補正等種々の新規プロセスが活用される中で,安定プロセスを実現するためにインライン寸法計測が不可欠になりました。インライン寸法計測装置は日立ハイテクノロジーの主力製品であり,局所的な揺らぎであるLER(Line-Edge Roughness)やLERに起因するライン幅変動の寸法揺らぎの計測LWR(Line-Width Roughness),CAD(Computer Aided Design)データとの比較による二次元形状計測,波形処理技術を活用した三次元の断面形状計測を行います。
 このように,画像応用システムの実用化では,“ヒトを超える”基本性能と“ヒトに近づく”多様な対象への対応が求められます(図2)。ヒトにできないものを実現する“ヒトを超える”ことは目標が明確で研究開発がやりやすいため,基本性能を支える「特殊撮像系」として,実を結びつつあります。一方で,“ヒトに近づく”ことは多様な対象に対応することが必要であるため,なおさまざまな工夫が必要です。日本製品の高品質な信頼を支えるよりどころは検査であり,そこでは画像センシング技術がキーテクノロジーであることを踏まえながら,画像応用システムの実用化に取り組んでいきます。

株式会社日立ハイテクノロジーズ 野口稔

1982年,東京大学精密機械工学科卒業。同年,(株)日立製作所入社。同社生産技術研究所にて,光学応用検査・計測技術の研究開発に従事。1993?1994年,米国コロンビア大学客員研究員。2004年,(株)日立ハイテクノロジーズ。現在,同社経営戦略本部新事業創生部部長。

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