セミナーレポート

― 「感性・技能を測る画像センシング」その解題と展望 ―中京大学大学院 輿水 大和

本記事は、画像センシング展2011にて開催されたセミナーを記事化したものになります。

1. はじめに ― 特集テーマ解題の必要 ―

 画像センシング技術も例外でなく,科学技術はこれまで物質的性能と効率のよいモノづくりを目指しながら発展してきたが,昨今では,真のゆとりと豊かな感性に満ちた質の高い生活を享受したいという人間のもう一つの根源的な要請に応えるための研鑽が期待されている。この要請に応えるために,人の感覚・感性を計測,理解する技術,さらに人にわかりやすく提示する技術,感性センシング技術が盛んに研究され始めて久しく,系内に人間のいる情報システムの設計・開発に生かされ始めている。
 さて,人の感覚,感性やスキルという物質的には曖昧な事象を計測し,解釈するためには,物質科学技術的アプローチとは異なる取り組みの枠組みを編み出す必要があるようだ。本特集号の全体では,人の感覚,感性やスキルを計測,解釈,表現するための画像センシング(ひいては,情報科学技術)に焦点を当てた最新の話題を通してその現状と動向を探り,またその分野における研究開発の今後を具体的に展望している。そこで本総論ではこれらを通貫する,これらに付託された課題の真髄は何かを見極めるための小論考を試みる。その方法の機軸を,H.ベルクソンの『意識の直接的与件論―時間と自由―』と『物質と記憶―肉体と精神の関係に関する試論―』に結晶している哲学的思索に聴き学ぶこととした。
 これらを通して,まず,画像センシング技術の立脚すべき学問的基盤(物質科学とココロ科学)の要請を明示化する。次いで,画像センシング技術は,「画像の計測か/画像による何の計測か」を丁寧に判じる。これらを受けて,画像センシング技術研究への磐石な手掛かりを得るための方向を展望したい。

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中京大学大学院 輿水 大和

1975年,名古屋大学大学院博士課程修了(工学博士)。同年,名古屋大学工学部助手に就任し,名古屋市工業研究所に所属。1986年,中京大学教養部教授に就任。1990年,同大学情報科学部教授。1994年,同大学院教授。2004年,情報科学部長。2006年より情報理工学部長, 2010年より大学院情報科学研究科長に就任。画像センシングや画像処理,顔学,デジタル化理論OKQT,ハフ変換などとそれらの産業応用の研究に従事。IEE,IEICE,SICE,JSPE,JFACE,JSAI/QCAV,FCV,MVA,SSII,ViEW,DIAなどで学会活動中。JFACE副会長,SSII会長,IAIP委員長など。仲間とともに,SSII2010優秀学術賞,小田原賞(IAIP/JSPE,2002,2005),IEE優秀論文発表賞(2004,2009,2010,2011など),技術奨励賞・新進賞(SICE2006,NDI2010)などを受賞。

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