【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

人々の役立つ製品を作り出すのはとても楽しく非常にエキサイティングだったアリゾナ大学名誉教授 JAMES C. WYANT

1,000万ドルを大学に寄付

聞き手:光科学部長のときに行われた学部内の改革についてお教えください。

ワイアント:私が1999年1月の初めに光科学部長になった時,財政的な問題がありました。そして短期間でその負債を清算しなければなりませんでした。助成金の獲得や,契約など教員たちの素晴らしい努力で,負債を清算し,教職員を増やすことができ,学生数も増やすことができました。その後アリゾナ州と交渉して新しい建物を建てることもできました。そのためには多くのタフな交渉が必要でしたが,私たちには非常に優秀な仲間がいました。
 私たちはその建物がいかに重要で良いアイディアかということを周囲に説明しました。説得には2年ほどかかりましたが,とうとうやりきることができました。このことで私たちの発言力が増したのは良いことだと思っています。

聞き手:1,000万ドルを寄付されたことが大きな話題となりました。

ワイアント:大学が抱えている問題の一つに,博士課程初年度の学生をどう支援するかの問題がありました。正直,教授陣は経費を負担したくありません,彼らは研究者としての十分なスキルを持っていないからです。しかし,優秀な学生を集めることは,非常に重要です。そのためには財政的な支援を行う必要がありました。
 私は,光科学部長だったときに,奨学金を設立しようと思いました。当初30件の基金の獲得を目指しましたが,結果として3件だけ獲得できました。そのうちの2つはノーベル賞受賞者によるもので,もうひとつは2004年に亡くなった家内を記念したものでした。
 私がWYKO社を起業した時に大学はとてもよくしてくれました。ですから,今度は私が奨学金をサポートするのは当然の事だと思いました。そこで,私は1,000万ドルを寄付することにしたのです。一件の奨学金は50万ドルで,私とほかの支援者が4:1の割合になるようにしました。つまり私が40万ドルを寄付し,ほかの支援者が10万ドルです。10万ドルを出した支援者が奨学金に名前を付けることも可能にしました。
 この奨学金で,私たちは本当に優秀な学生の獲得を目指しています。そして優秀な学生を集めることで,より研究が進むことにもなるのです。
 奨学生の選考は非常に厳しいものです。多数の申し込みを受けますが,選考委員会で厳しく審議されます。
 光科学部長だった時には,はじめてコーディネーターを雇いました。彼らの目標は企業などから資金提供を得ることです。また産業関連のアフィリエイトプログラムも実施しました。企業から少額の寄付を得ることを数年間行いました。
 そして,企業が直接,教職員や学生に会うことができる会合を1年に2回開催しています。これらの企業の目的は,私たちの優秀な学生を雇うことであり,それが,企業が私たちを支援した理由でもあります。  これは良いシステムで,キヤノンなど多くの企業が非常に良いサポートを提供しています。 <次ページへ続く>
JAMES C. WYANT(じぇーむす・C・わいあんと)

JAMES C. WYANT(じぇーむす・C・わいあんと)

1968年 ロチェスター大学 PhD(Optics) 1968年-1974年 Itek社 1974年 アリゾナ大学助教授 1976年 アリゾナ大学准教授 1979年-2013年 アリゾナ大学教授 1994年-1997年 WYKO社 代表取締役社長 2005年-2012年 アリゾナ大学光科学部学部長
●研究分野
ホログラム.干渉計
●主な役職等
2007年 OSA会長 1986年 SPIE会長 American Institute of Physics 会員 OSI Lifetime Fellow OSJ International Advisory Member OSK名誉会員

私の発言 新着もっと見る

本誌にて好評連載中

私の発言もっと見る

一枚の写真もっと見る