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新しいものを持ってきてお客さんに知らしめるというのが,私の仕事オーテックス(株) 福井 博

「これは新しいから,日本に知らしめてやろう」ということが好きだった

福井:レーザーというのは,私が始めたころなんて最悪でした。というのは,レーザーの辞典・用語集だとか,そういうものがほとんどありませんでした。英語で書かれたものを読むとか,あとはとにかく自分でやってみるしかありませんでした。例えば光変調器について,参考書が全くないから,自分で覚えざるを得ないんです。最近でこそ,そういうものが手に入るようになりましたけれども,まだ不足しています。そういった意味からすると,レーザーを売っていく,使う,どちらにしても,他の産業に比べてファンダメンタルが何もないような状態だ,といえます。
 光は,人類が生まれる前からの存在です。太陽の光がありますね。光は,昔から人間が付き合っている割には全く,「全く」というのは語弊があるけれども,まだまだ非常に分からない分野です。光を制御するということは非常に難しいものですね。
 私の場合はどちらかというと,「もうかる」よりも「これは新しいから,日本に知らしめてやろう」という話の方が好きなのです。だから,よそに比べるとあまりもうかっていません。(笑)
1988年当時のphoton社製ビームスキャン

1988年当時のphoton社製ビームスキャン

 今,ビームプロファイラーがすごく一般的になってきていて,皆さんが持とうとしています。例えば,ビーム径やM2を測ったり横モードを観測したりしています。昔は,皆さんは横モードなんて測らなかったではないですか。私がオーテックスを始めたのが87年です。その前に,レオニクスに在社したころ,それを見つけて,85年ぐらいに日本に初めて紹介したのです。
 アメリカでの発表が84年で,翌年に,訪問して始めたのです。とにかくデモ機を持って,いろんな所へ行きました。そしてお客さんの持っているデータと一致するので,「これはいい」ということになりました。売れるときは本当に随分売れて,年間100台ぐらい売れました。その当時は,ビームプロファイラーはどこにもなかったのです。データを比べてみて,「これは信頼に足る測定器だな」と思いました。日本人は測定器が好きで,計測するのが大好きです。だから,売れました。 <次ページへ続く>
福井 博(ふくい・ひろし)

福井 博(ふくい・ひろし)

東京都出身。
1987年にオーテックス株式会社設立。
オーテックス株式会社はレーザ機器や電子機器などの輸入・販売を行っている。
1990年にテクニカルセンター開設し,2002年UV硬化エポキシ材料特許取得。
2008年には可視光硬化エポキシ材料発売するなど,独自の商品の開発・販売も行っている。
URL http://www.autex-inc.co.jp/index.html

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