【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

新しいものを持ってきてお客さんに知らしめるというのが,私の仕事オーテックス(株) 福井 博

トップもしくは,マネジメントの方は自ら新しい技術を知ることが必要

聞き手:民間の研究が元気になるために,何が必要なのでしょうか。

福井:トップやマネジメントの方々が物を分からないと駄目ではないでしょうか。テレコムのバブルの時に,競合がたくさんいて,世界の供給量は見通せているのに,たくさんの企業が半導体レーザーや光通信用パーツをやろうとしたのです。なんで,皆さんがそこに,わっと入っていったのですかね。その当時,トップやマネジメントのチームがなぜそれをやろうと決断したかというところを大変知りたいです。「我が社はそのトップになれる」と思ってやったのか。世界全体の需要がどうだと思ってやった人がいるのかな,と。基本的にはマーケティングができていないのではないでしょうか。おろそかになっている気がして,仕方がありません。
 例えば,今,ファイバーレーザーを商品化している所が,日本には随分あります。今までの二の舞いになるのではないかと思います。ファイバーメーカーやレーザーメーカーさんがみんなファイバーレーザーをつくろうとしているではないですか。私の知っている限りで10社あります。その他に少なくとも10社ぐらいがファイバーレーザーをやろうとしています。「おまえ,それをやれ」と指令を出した方々はどういうつもりでそれを出しているのか。本当に不思議で仕方がありません。
 一ついえるのはメディアです。新聞,もしくはテレビのメディアがすごく悪いです。1980年代,90年代に,メディアは「21世紀は光の時代」だとぶち上げたのです。そこに企業が乗ってきたわけです。「レーザーをやっていれば,どのくらい蔵が建つ」という話が出たのです。新しい製品はなかなか出なくなってきたので,メディアが花火を一発打ち上げると,みんながそちらになびくわけです。特に最近の日本の悪い傾向として,全体がメディアに引っ張られています。要は,メーカーさんがメディアの顔色を見ながら仕事をしているように,私は感じます。いいところだけを見て,今までなぜ失敗したかを見ていないのです。 <次ページへ続く>
福井 博(ふくい・ひろし)

福井 博(ふくい・ひろし)

東京都出身。
1987年にオーテックス株式会社設立。
オーテックス株式会社はレーザ機器や電子機器などの輸入・販売を行っている。
1990年にテクニカルセンター開設し,2002年UV硬化エポキシ材料特許取得。
2008年には可視光硬化エポキシ材料発売するなど,独自の商品の開発・販売も行っている。
URL http://www.autex-inc.co.jp/index.html

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