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特別寄稿 現場目線の開発力を積み上げ,創業60周年へ中央精機株式会社 相談役 堀田 節夫

恥じることのない企業精神を築け

 創業以来,光学機器の製造に携わってきた当社(中央精機)が来年60周年を迎えます。その来し方を振り返ってみますといろいろな課題に遭遇しました。本論では製作してきた仕事について述べさせていただき,これからをどうすべきか,人生で申せば「還暦」という転換期を考えるよすがになれば幸いです。
 本題に入る前に,昨日(2013年8月25日)私共が加盟しております「全国光学工業厚生年金基金」の組合が,解散するという通知が届けられました。私共中小企業で働いているものにとって「年金」の問題は大変な問題です。ここまで問題が迫っているのかという切迫感をあらためて抱かされました。
 さて,本誌1996年11月号に掲載の「私の発言」で,私は企業にとって深刻な問題を発言させていただいております。その冒頭に,ユニオン光学製の「SM工場顕微鏡」について述べ,この製品が完全に近い型で模造されて市販されていることについて述べました。
 私共の業界で「ユニオン光学?」と言えば金属顕微鏡では世界に名だたる企業で,株式も公開(資本金54.7億円)しており,ハイクオリティな企業でした。ところが,3年前の2010年3月に不可解な経過を露呈して,会社を破産させてしまいました。ユニオン光学は倒産の数日前に社名をKYG?と変更しており,破産した会社はユニオン光学ではなく「KYG」という商号の会社でした。
 株式操作の疑惑や製品盗作等が破産の原因として挙げられておりますが,私共の企業もこの事件では影響は免れる訳にはゆきませんでした。私共測定機のメーカーが簡単に消滅するという現実を身近に見せつけられたことは大変な衝撃でした。
図1 精密位置決めユニット

図1 精密位置決めユニット

 60周年を迎えようとしている当社の業績を振り返りますと,当社の主力製品である「精密位置決めユニット」(図1)もSM工場顕微鏡と同じような目に遭っています。このユニット製品につきましては後述で作製の経過など御説明しますが,私共の製品と全く同じ商品として3社の企業が市販を行っております。「堀田がやったことなんだ。自分たちもできないことはない」と,ある企業の責任者が口述したといいます。その貧弱な企業精神を軽蔑はしますがそれで済むことではありません。簡単に他社の製品を模造して自社の製品として市販するには企業自体の弱点もありますが,外部のいわゆる商社からの要請や,日本の経済産業界の貧弱な体制などもあるかと思われます。 <次ページへ続く>
堀田節夫(ほった・せつお)

堀田節夫(ほった・せつお)

1932年東京生まれ。1951年愛知県立時習館高等学校を卒業,同年4月早稲田大学第2文学部社会学科に入学。同科3年で中退,創業。1955年中央精機株式会社を創立,代表取締役社長を経て,同社相談役として現在に至る。
●日本光学測定機工業会 元理事。全日本光学測定機展実行委員長などを勤めた。

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